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連載:IPO市場の健全な拡大に向けて (6) マネタイズ・プラットフォームのメリット3

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 大企業においてマネタイズプラットフォームを整備するメリットとして、以下のような副次効果もあると考えられる。(作成:南青山FAS株式会社)

【1】株価向上

 知的財産(代表例として技術をあげている)をシステムで管理することによって、経営者が、価値の源泉をリアルに把握することができる。
価値の源泉への継続的な投資は、経営に連続性を与え、安定感を与える。このこと自体が、株価にプラスに作用すると考えられる。
 さらに、価値の源泉を明確に認識し、適切な投資を行い、価値を生むようにマネージしているとアナウンスすることも、株価の向上に繋がるはずである。
 かつて経済産業省主導で進められた「知的財産報告書」の趣旨は、無形資産(知的財産)から生まれる価値が大きな割合を占める企業の株式を保有している投資家に、知的財産の価値を正しく伝えようということであった。これは、例えば、保有特許を価値評価して公表するというようなレベルの話ではない。本質的には、当該企業の経営者に、知的財産をどれだけ戦略的にマネージできる能力があるかをアピールするものでなければならない。その意味で、マネタイズプラットフォームの構築とその正しい運用は、投資家への知財報告に十分資する。顧客のニーズに現実的な時間内に応える、市場の機会を迅速に獲得する、真にイノベーティブな商品を開発するといった行動を支援するからである。

【2】適確な投資判断

 適切な分類を行うことで、価値の源泉を正しく把握し、資源配分や投資の判断が適切に行えるようになる。技術(コア技術)が、本当にキャッシュを生み出しているかを確認でき、適確な投資判断が可能になる。
 また、老朽化した場合の対処法-無駄な投資を取りやめることにも効果的である。さらに、コア技術のプラットフォーム性がわかるので、投資をしないという誤った判断を避けることができる。
 新しい製品の市場投入までに要する時間が予測できれば、総投資額も予測できる。この予測をもとに、ROICを算出することができる。ROICをもとに適切な資源配分を行うことで、効率的なマネジメントが可能になると考えられる。
 さらに、どのような支援技術とコア技術の組み合わせが価値を生み出しているかがわかるため、プラットフォーム性を有する支援技術への適正な投資水準も認識できると考えられる。
 加えて、技術の棚卸・管理をしていることによって、技術(特許)の売買、つまりライセンスイン、ライセンスアウトの判断が容易になると考えられる。

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