連載:IPO市場の健全な拡大に向けて (5) マネタイズ・プラットフォームのメリット2

62f8cf5d 4075 4d75 8e20 19ef25e9830b camera_alt LuckyStep/Shutterstock.com

 前回までのおさらいをすると、大企業側は技術資産を適切に管理することにより、適切なタイミングで不足している技術資産を、直ぐに見つけることができる。それが事業展開にスピードをもたらすというロジックであった。技術資産を適切に管理するシステムである、マネタイズプラットフォームは、技術を「プラットフォーム性」で分類・管理していること、並びに、技術インターフェースを意識的に分別管理していることに特徴があった。さらには、技術マネジメントができる人材リソースも紐付けて管理している。
 そのような仕組みを整えている大企業と組めば、ベンチャーの事業成功確率はアップするであろう。(作成:南青山FAS株式会社)

イノベーティブな商品やサービスの立ち上げにも有用

 しかし大企業側は、マネタイズプラットフォームを構築しても、その結果が高々「既存顧客からのニーズに適確かつスピーディーに応える」だけでは不十分、と考えるかもしれない。イノベーティブな商品・サービスを市場に投入することができないのでは、わざわざベンチャーと組む理由としては不十分と考えるかもしれない。
 大きな技術革新や世の中のトレンドを鑑みて、イノベーティブな商品・サービスを市場に投入することにも、マネタイズプラットフォームは有用である。

 まだ市場が立ち上がっておらず、したがって市場の不確実性が大きな状態で、企業として最終的な商品化までのコミットメントを行うことはリスクが大きい。イノベーティブな商品・サービスであれば、なおさらである。そのような状況では、教科書的に言えば、オプションマネジメントを行うことが望ましい。現実問題として決めなければならないことは、どの技術資産に、いつ、どの程度投資するかである(投資額と投資タイミング)。

 マネタイズプラットフォームでは、技術資産をプラットフォーム性を意識して分類している。この事実が、イノベーティブな商品・サービスを離陸させる可能性を上げる。ある時点で投資して得られた知見が、別の機会で生かされる可能性が高いため、プラットフォーム性を有する技術への投資であれば、仮に当該投資が、すぐに成果に結びつかなくても、投資損失が少ないと考えられるからである。
 コア技術の優先度として先端性よりもプラットフォーム性を上げて、プラットフォーム性を持つ技術資産をベースにイノベーティブな商品・サービスを高速で立ち上げていくことが、大企業にとって重要である。

 いつ投資するかという問いに対する答えは、プラットフォーム性を有する技術への投資は、すぐに実施しても良い、である。では、どの程度投資するかという問いの答えはどうであろうか。その答えは、やや難しいが、プラットフォーム性を有する技術の全応用範囲の中で、比較的需要が確からしい商品の売上(あるいは利益)を勘案して、投資額を決定することになるだろう。

 もちろん、マネタイズプラットフォームが、技術インターフェースを明確に認識していることも大きな意味を持つ。インターフェースの優劣によって、市場導入時期は大きくずれる。技術インターフェース自身、プラットフォーム化可能であるから、継続的な投資によって、in playの状態にしておくことは重要である。

小括

 マネタイズプラットフォームによって、技術を分類して管理することで、市場が未開拓であるような新しい商品の開発に広く用いられるオプション・マネジメントの実行が容易になる。どの技術資産に、いつ、どの程度投資すべきであるかという経営課題に、定量的な見通しをつけることによって、コストを最小化した、“待ち伏せ戦略”を採用することが可能となる。

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