船に住む?「分譲型」豪華客船の華麗なるライフスタイル
ここ数年、世界的に豪華客船によるクルーズ需要が拡大している。すでに米国では1,000万人を超える人たちがクルージングを楽しんでいる。国土交通省の「2016年の我が国のクルーズ等の動向」によると、2016年の日本人クルーズ人口は、過去最多となる24万8,000人に及んだが、米国に比べると、まだまだ拡大余地があることが分かる。訪日クルーズ旅客数も年々増加しており、2016年には199万2,000人であったそうだ。
こうしたなか、クルーズビジネスのさらなる拡大を目論んだ新たな動きがみられる。
「分譲型」豪華客船とは?
リゾートマンションの中には区分所有権や数日間の宿泊権を販売するものがあり、予算や好みに応じ多様なリゾートライフを楽しむことができる。
クルージングも100日を超える優雅な世界一周旅行だけでなく、地中海、北大西洋、カリブ海、南太平洋、インド洋、東シナ海などを1、2週間で巡るお手頃な旅まで多種多様なコースが用意されている。
そうした中で、マンションのように居室の区分所有権を分譲する高級クルーズ船も登場している。詳細な契約条件や規約が公表されていないため断定的なことは言えないが、分譲マンションと同様に共同所有したり一定条件下で転貸したりすることも可能と考えられる。
クルーズ船の居室内は分譲マンションや滞在型リゾートホテルとほぼ同じだ。100平米超の居室はベッドルーム、リビングルーム、バス、トイレに加え大きなクローゼットやキッチンを備えており、数ヵ月間の航海でも快適に生活できる。
30~40平米クラスのワンルームタイプの部屋には通常キッチンが設置されていないものの、船内には複数のレストランがあるため食事に困ることはない。
「分譲型」豪華客船の華麗なるライフスタイル
クルーズ船は常に世界中を航海しているため、修繕目的でドックへ入港する期間を除きいつでも乗船できる。
船内には、レストラン、バー、ティールームに加え、フィットネスクラブ、テニスコート、ゴルフ練習場、スパ、プールなどがあり、乗船中に暇を持て余す心配はない。居室内で借りてきた本を読むことやDVDを観ることもできる。
電話やインターネットなどの通信環境も整っており、陸上生活者とのコミュニケーションに支障が生じることもない。また高級マンションやホテルと同じように24時間コンシェルジュサービスを利用できる。文房具や家電製品の手配、クリーニング、アイロン掛けなども手軽に頼める。
クルージング期間中には船長主催のイブニングパーティーなどの行事もある。そうした機会やバー、ティールーム、プールサイドなどで寛いでいるときに他の乗船者と親しくなり、友人関係に発展することも少なくない。
コース設定により異なるものの、一般的に豪華客船のクルージングでは寄港地に1泊以上停船するため世界中の沿岸都市の観光もできる。乗船中におすすめの観光コースを訪ねたり、オプショナルツアーを申し込んだりすることも可能だ。
欧米のビジネスパーソンの間では、引退後に夫婦で豪華客船のクルージングを楽しむ人たちが少なからず見受けられる。マンションと比べ遜色のない居室に宿泊して高級リゾートホテル並みの設備やサービスを満喫できる上に、飛行機よりも楽に世界中の観光地を訪れることができるためだ。長期滞在により他の乗客と親しくなり交友関係を広げることも、ビジネスの第一線から身を引いた人たちの楽しみの一つのようだ。
暮らしながら世界各国を巡る所有権
気になるのはお値段だが、こちらも正式には公開されていないものの、都心の億ション1部屋を買えるくらい額がボリュームゾーンだという。さすがは豪華客船の所有権だ。
多くの日本人にとってクルージングは馴染の薄いレジャーだった。富裕層向けのサービスではあるものの、1ヵ所に定着する別荘ではなく、暮らしながら世界各国を巡るクルーズ船の所有権を手にすることは、リゾートライフを楽しむための選択肢の一つになり得るだろう。
南青山リーダーズ株式会社 編集部