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新型コロナ、慢性疾患の50歳以上男性で注意

昨年(2019年)12月に最初の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)症例が確認された中国湖北省武漢市は、今年4月8日に封鎖が解除された。しかし世界では、依然として感染拡大の勢いが止まらない。こうした中、中国・Chinese PLA General HospitalのYingzhen Du氏らは、武漢市におけるCOVID-19死亡例の臨床的特徴をまとめ、Am J Respir Crit Care Med(2020年4月3日オンライン版)に発表した(関連記事「新型コロナ、死亡例の臨床的特徴」)。同氏らによると、COVID-19による死亡例の特徴として慢性疾患を有する50歳以上の男性が挙げられたという。

死亡例の72%が男性

4月14日時点の全世界におけるCOVID-19による死亡者数は、11万7,000例を超えている。死亡の危険因子として高齢と併存疾患が挙げられているが、今のところ明確ではない。

そこでDu氏らは、今年1月9日~2月15日に武漢市内の2病院でCOVID-19により死亡した85例(年齢中央値65.8歳、男性72.9%)の診療記録を収集、臨床的特徴をまとめた。診療記録には、病歴、SARS-CoV-2への曝露歴、併存症、症状、検査所見、CT所見、臨床管理に関する情報が含まれた。

息切れ、好酸球減少が特徴

85例のうちポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査陽性例は33例(38.8%)で、症状は発熱の78例(91.8%)と呼吸困難の60例(70.6%)が多く、息切れと疲労の各50例(58.8%)が続いた。特筆すべきは入院時の好酸球数で、69例(81.2%)が正常範囲未満だった。併存症で多かったのは高血圧、糖尿病、冠動脈疾患。合併症で多かったのは、呼吸不全80例(94.1%)で、ショック69例(81.2%)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)63例(74.1%)、不整脈51例(60%)が続いた。

患者の多くが抗菌薬〔77例(90.6%)〕、抗ウイルス薬〔78例(91.8%)〕、グルココルチコイド〔65例(76.5%)〕を投与されていた。また、38例(44.7%)が免疫グロブリン静注療法、33例(38.8%)がインターフェロンα2b製剤による治療を受けていた。

Du氏らは、COVID-19による死亡例の特徴として、非感染性の慢性疾患を有する50歳以上の男性が多数を占め、その大半が多臓器不全で死に至ったことを挙げた。さらに、「息切れの早期発症はCOVID-19増悪の予測因子として、好酸球減少症は予後不良の予測因子として有用である」としている。その上で「抗菌薬併用による転帰改善は示されなかったことから、COVID-19治療時には抗菌薬の適正使用を考慮すべき」と付言している。

(比企野綾子)



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