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プロが教える  企業のブランド力を高めるコーポレートサイトの作り方

(写真=Prostock-studio/Shutterstock.com)

インターネットの普及率が8割を超える現代において、企業の“顔”ともいえるコーポレートサイト。このコーポレートサイトへの印象がそのまま企業イメージつながると言っても過言ではない。

このような状況を鑑みて多くの企業が新規立ち上げやリニューアルを進めているが、費用や労力をかけただけよいものができるとは限らないのが難しいところだ。単に見た目だけカッコいいだけでなく、企業のブランド力を高めるようないいサイトを作るには、どうしたらいいのだろうか。数々の企業のコーポレートサイトを手がけるWeb制作会社・Visso株式会社の小室吉隆さんに、そのコツを聞いてみた。(聞き手:Tokyo Edit/大住奈保子)

コーポレートサイトは「制作に入る前」の段階が一番重要

大住)本日はありがとうございます。初めてコーポレートサイトを作る企業の担当者様からよく聞くのが「そもそもどういう順序で進めていけばいいのか分からない」というお悩みです。コーポレートサイト制作の大まかな手順をお教えいただけますか。

小室 サイト制作というとデザインやビジュアルから考えがちですが、それでは失敗の可能性を高めてしまいます。見た目がいいだけでなく効果も出せるコーポレートサイトにするためには、しかるべき順序を踏んで制作を進めていかなければなりません。具体的には、下記のようなステップです。

1. サイト制作・サイトリニューアルの目的を定める
2. 1のためにはどういう情報や機能が必要かを考える
3. どういう見せ方で2の情報を出していくのが効果的かを考える

1はサイト制作の根幹となる、もっとも重要なところです。サイトを新たに立ち上げる、もしくはリニューアルすることによって「誰に何を伝えて、どういう成果を得たいか」を考えるということです。

たとえば「顧客からの引き合いを増やしたい」場合と「求人情報への応募を増やしたい」場合では、サイトに入れるべき情報は大きく変わってくるはずです。1をしっかりと定めずに2、3から制作を進めてしまうとサイトの軸がブレて、結局誰にも刺さらないサイトになってしまいます。

大住)なるほど。1~3までのステップでは、具体的にどんな作業をすればいいのでしょうか。

小室 1では、明確な目的が定まるまで話し合いをするといいでしょう。このタイミングでディレクターだけでなく制作会社も交えると、制作がスムーズに進みます。コーポレートサイトは企業の“顔”になりますので、時には経営者みずからが打ち合わせに参加するのもいいでしょう。

このステップが終わったら、2のステップに進みます。1で決めた目的からターゲットを絞り込み、その人が必要とする情報が何かを提案しあってサイトの大まかな構成を検討していきます。この過程で、マインドマップを作ることもあります。

ここで大切なのは、制作会社からの提案を待つばかりで受け身にならないことです。企業側・制作会社の双方が必要だと思う要素を相談しあうことで、よりよいサイト作りの素地ができます。

こうして1~2が固まったら、やっと具体的なデザインやコンテンツ制作に入ります。ここまでのステップをしっかり踏めていれば、方向性も定まっているはずなので安心です。あとは制作会社のディレクターと相談しながら、コンテンツを作っていきましょう。

「見る側」を意識することで入れるべき要素が分かってくる

大住)トップページにはやはり力を入れたいという企業が多いかと思います。企業イメージをよくするためには、どんなつくりにするのがいいのでしょうか。

小室 おっしゃるとおりトップページは「顔」ですから、重視するべきところです。ただ、だからといって意気込んで情報をてんこ盛りにすると、見る側が消化しきれず逆効果になってしまいます。力を入れたいトップページこそ伝えたいことを精査して、情報を整理する必要があります。

企業によって目的もカラーも異なるので一概には言えないのですが、ファーストビュー(ブラウザでサイトを開いた状態で目に入る範囲)に「何をしている会社か」が分かる要素は入れたほうがいいでしょう。コピー、写真、イラスト、動画など、表現方法はなんでも構いません。

大住)「見る側」を意識するのが、独りよがりなサイトを作らないためのコツなんですね。ただ、コーポレートサイトは顧客も関係会社も求職者も見ますよね。「見る側」って、誰を想定すればいいのでしょうか。

小室 ターゲットユーザーを誰にするかは、会社のステージによって変化していきます。スタートアップの企業なら顧客を想定するでしょうし、成長期の企業なら求職者も含まれるでしょう。事業のビジネスモデルによっては、初期段階から関係会社獲得を図ることもあると思います。

「情報を整理する」という観点からは1つのサイトにつき1人のターゲットユーザーが理想ですが、それが難しい場合は2人までは許容範囲だと思います。多いのは「顧客とパートナー企業」という組み合わせですね。

ただ、各ターゲットユーザーの目的が大きく異なる場合は、別サイトにすべきです。たとえば「この会社との取引は利益を生み出すか」を知りたい関係会社と「この会社で働くことは自分にマッチするか」を知りたい求職者は、目的が大きく異なる組み合わせです。そういう場合は採用サイトを別に立てるなどしたほうが、制作がしやすくなります。

予算配分を工夫すると、成果をさらに出しやすくなる

大住)たしかに採用サイトが別立てというサイトは最近よく見ますが、そういう狙いがあったのですね。ここまでいろいろなお話をうかがいましたが、特にはじめてサイト制作する場合などは、なかなかうまくステップを踏めないこともあるかと思います。コーポレートサイトの制作を依頼するときに企業側が注意しておくべきポイントはありますか。

小室 予算をサイト制作で使い切らないことかと思います。担当者も制作会社も「いいものを作ろう」という気概で業務に携わりますが、本当にターゲットユーザーが求める内容になっているかどうかは、出してみないとわかりません。サイトリリース後にターゲットユーザーのリアルな反応を見て改善施策を打つために、制作費8:改善費2の配分で予算を立てておきましょう。


成果の出るコーポレートサイトを作るには、情報を「増やす」のではなく「整理する」こと。分かっているようで、実際に制作をはじめると意識し続けるのが難しい点ですよね。小室さんによると、やりたいことを整理して目的をハッキリさせるだけでも効果が出やすいサイトになるとのこと。新年度に向けて、参考にしてみてはいかがでしょうか。

大住 奈保子(おおすみ・なほこ)
コンテンツ制作事務所Tokyo Edit代表。出版社勤務ののち、編集者・ライターとして独立。
書籍やWeb記事の執筆・編集からメディアの企画・運営まで、幅広い事業を手がける。
https://tokyoedit55.com

【取材協力】
Visso株式会社
https://visso.jp/