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経営者の間でなぜトライアスロンが流行しているのか

camera_alt (写真=Eugene Huxley/Shutterstock.com)

トライアスロンは1974年に米国サンディエゴで誕生した新しいスポーツだ。日本では1981年に鳥取県の皆生温泉で最初の大会が開かれ、2000年のシドニー大会でオリンピックの正式競技に採用された。

主要大会の設定距離は水泳1.5キロメートル、自転車40キロメートル、持久走10キロメートルとタフな競技だが、年々人気が高まっている。

経営者とスポーツ

多忙を極める経営者にとって「心・技・体」の充実は不可欠だ。このため、スポーツによって体力を強化するとともに、精神力を鍛えている人は少なくない。チームマネジメントや戦略立案・実行の点でもスポーツと企業経営には共通する要素が多く、スポーツの経験が経営に役立つ側面もある。

経営者には、スポーツを営業やマネジメントに生かすことが求められる。経営者の間でゴルフが盛んな最大の理由は、取引先や部下との親交を深めることにある。仕事と関係のない場で長時間にわたり話をして、一緒に風呂に入ったり食事をしたりすることにより親密な関係を築くことが狙いだ。

取引先や部下のプレー中の言動・仕草やゴルフに取り組む姿勢などから、当人の本質的な性格や自分に対する考え方を垣間見ることもできる。

多くのストレスに直面する経営者にとっては、精神的なリフレッシュも重要になる。その点でもスポーツは効果的だ。チームスポーツをしている間は、仕事や家庭のことを忘れられる。とくに会社と無縁の仲間がいれば、仕事のことを一切気にせずに楽しめるだろう。

個人競技に打ち込んでいる時間は、一人でさまざまなことを考えられる。脳をリラックスさせた状態でランニングなどに取り組んでいると、突然アイデアが浮かぶことがある。

また目標を設定してストイックに競技に取り組めば、達成したときに大きな喜びを得られる。こうした成功体験はビジネスにも通じる面があり、仕事に対する意欲を高める効果がある。

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(写真=PIXTA)

なぜトライアスロンが流行しているのか

トライアスロンは個人同士がタイムを競い合うスポーツだが、日常のトレーニングはチームを組んで行うことが多い。レース中に仲間同士が助け合ったり、励まし合ったりすることも少なくない。

個人競技でありながらチームプレーの要素も含まれる点が、経営者やエグゼクティブ層の間でトライアスロンが流行する大きな要因になっているのだろう。

個人として競技に取り組むことにより、まず以下のメリットを得られる。
・ (やり過ぎなければ)体力や健康を向上させられる
・ 地道な努力を続けるため精神力が強化できる
・ 成功体験(タイムの短縮など)を積み上げることにより自信が深まる
・ トレーニング効率の追求により合理的な思考力、行動力が高まる
・ トレーニング時間の確保により生活のリズムが整う

さらにチームプレーの効果として、以下の点があげられる。
・ 仲間と励まし合いながら競技力を向上できる
・ 身近な目標(ライバル)を設定して一段と高いレベルを目指せる
・ トレーニングや競技に関する多様で有益な情報を得られる
・ 仲間に対する気配りや目配りをする習慣が身に付く
・ トレーニング中のケガや事故など不測の事態に共同で対処できる

こうした相乗効果やリスク管理は企業経営にも通じることで、自社の経営管理に使える材料を発見できるかもしれない。

経営者やエグゼクティブは努力を惜しまない人たちなので「心・技・体」に及ぼす合理的なメリットだけでなく、定量的に努力の成果(タイム)を把握し、その改善に取り組むプロセス自体を楽しんでいる面もあるだろう。

さらに、ビジネスで成功するためには時代の潮流に敏感なことも必要なため、海外で流行しているトライアスロンに着眼したという人も少なくないはずだ。

トライアスロンは有意義だが人に押し付けないこと

トライアスロンは、何事にも慎重で地味なタイプの人よりも、明るく前向きでアグレッシブな人が好むスポーツのようだ。また、就職活動中の学生が粘り強い、物事を最後まで投げ出さない、体力があるといったイメージをアピールする目的でトライアスロンを始めるケースもみられる。

このような背景もあり、トライアスロンの素晴らしさを過剰に喧伝したり、人に押し付けたりする人が少なからず見受けられる。そうした人物はビジネスの場でも、自信過剰で厚かましい人と思われている可能性が高い。若者の間で「意識高い系」と呼ばれ揶揄されるタイプと同じだ。

トライアスロンには、他のスポーツや趣味・娯楽のようにさまざまな素晴らしい要素があり、多くの人が楽しめるスポーツだ。

経営者はトライアスロンで得た経験から、人々の嗜好や得手・不得手が多様なことを理解して、特定の価値観を他人に押し付けないように、部下一人ひとりの長所を伸ばすことができるだろう。


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