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抑えておきたい海外移住のメリット・デメリット

camera_alt (写真=0829kt/Shutterstock.com)

海外移住を考える日本人の数が年々増え続けている。これからも増加すると予想されている海外移住だが、どのようなメリットやデメリットがあるのだろうか。また、海外で生活する際の税金はどのような扱いになるのだろうか。

なぜ海外移住が増加しているのか

外務省が発表している「海外在留邦人数調査統計(平成27年要約版)」によれば、2014年10月1日現在の在外邦人の数は129万175人となっている。前年比では2.5%の増加だが、この5年間でみれば13%(14万6,818人)の増加となり、2010年前後を一つの境にして増加傾向が顕著になってきたことが窺える。

海外移住が増加している背景には、団塊の世代の定年退職に伴い第二の人生を海外で過ごそうというシニア世代の増加に加え、東日本大震災も一つの契機になったと考えられる。

また、2008年9月のリーマンショックは世界経済に大きな打撃を与え、日本は先進各国の中でも大きなダメージを受けた。日経平均株価も下落を続け2011年まで伸び悩み続けるが、この時期から海外移住、とりわけアジアへの移住が増加している。このことから、日本経済への見通しも関係しているのかもしれない。

海外移住で変わる日本の税金・変わらない税金

海外移住を考える際に気になるのが、課税関係だ。具体的な課税額や課税・非課税のケースは個別に異なるが、今回は所得税について一般論を説明しよう。

原則的に海外移住者に対する所得税の課税は「国内源泉所得に限る」とされている。つまり、日本国内で発生した所得にのみ課税をすると言う考え方だ。国税庁では、海外移住者の国内源泉所得が「恒久的施設」に由来するものか、そしてどのような「国内源泉所得」によるかにより課税方法は異なると説明している。

● 年金所得
これはその支払源泉が日本国内にあるので、所得税の課税対象になる。日本国内で居住している場合と条件は変わらない。

● 預金や株式配当、不動産家賃収入、不動産売却益など
預金や株式の配当はその支払源泉が日本国内(国内法人、もしくは日本の証券市場に上場している株式)にあればこれも取扱いは変わらず、日本国内で受け取るのと同じだ。不動産家賃収入と不動産売却益も日本国内に居住している場合と変わらず課税対象になるが、これは不動産家賃収入が日本国内に存在する「恒久的施設」であることによる。

● 株式など有価証券のキャピタルゲイン
海外で株式等有価証券を取得し海外で売却した場合と、日本国内に居住している際に取得した株式等有価証券を海外移住後に売却する場合は、共に日本の所得としては課税対象にならない。

ただし、この税制を逆手に取り、日本で取得した含み益のある株式等有価証券を税金の安い海外に移住して売却しようとする動きがみられたため、2015年7月から通称「出国税」(国外転出時課税制度)がスタートしているので注意したい。これは、1億円以上の有価証券を有している者が海外に移住しようとする場合、当該有価証券について出国時の時価で含み益を計算し、課税するものだ。

海外移住のメリット・デメリット

海外移住では、日本国内に在住するより恵まれているメリットもあれば、日本に比べて不便な、時に命の危険を感じるようなデメリットもあるだろう。近年移住者が増えているアジアを例に考えてみよう。

メリットは物価の安さで、これが理由で移住する人も多いのではないだろうか。手付かずの自然や青い海、伝統的な暮らしの生活習慣も人によってはメリットであり、アジアの大きな魅力だ。一方でデメリットは、日本より治安が悪いことや、医療サービスもシンガポールなど一部の国を除き低いこと、言葉の壁、思わぬ生活習慣の違いで重大なトラブルを招くリスクなどが挙げられるだろう。

人によってメリットは、海辺での生活や物価の安さ、憧れの国での生活かもしれない。しかしそれを手に入れようとする場合、多くの国では日本よりも治安が良いということはなく、言葉の面でも苦労するだろう。メリットを考えて移住をした場合、デメリットをどこまで甘受できるのか、本当にそのメリットはデメリット以上に手に入れる価値がある憧れなのかを、移住先の国を決める段階から計画的に考え、慎重に検討して決めたほうがいいだろう。

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