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日本一の高級住宅街 六麓荘の驚きのルール

(写真=PIXTA)

「高級住宅街」と聞いて、頭に浮かべるのはどのエリアだろうか。東京在住であれば、広尾や松濤、田園調布、成城、麻布、白金などの名前が挙がるだろう。

西日本にも目を向けてみると、これらを遥かに凌ぐ高級住宅街が兵庫県芦屋市に存在する。それは六麓荘町(ろくろくそうちょう)だ。六麓荘町一帯には、日本一の高級住宅街と呼ぶのにふさわしい驚きのルールが数多く存在する。

東洋一の別荘地がコンセプト

六麓荘町は芦屋市の東北部、地名の由来ともなった六甲の山麓、海抜200メートルほどの高台の広さ約38ヘクタールの一帯だ。1928年に設立された「六麓荘」という会社が国有林を払い下げて開発がスタートした。六麓荘町のモデルとされたのが、地形が似た香港の白人専用地区の高級住宅街だ。イギリス式のまちづくりを学びながら東洋一の別荘地を目指したそうだ。

六麓荘町の特徴でもある広々とした道路は、細い箇所でも6メートルの幅を確保している。広大な敷地区画を誇る高級住宅街だが、豪華絢爛な住宅が立ち並び、豊かさを競い合うような雰囲気ではなく、あくまで六甲の豊かな自然と調和しながら理想のまちづくりを実現している。

視界を遮る電線・電話線は地下に埋設され、空が広く感じられる六麓荘町は、電柱もなければ信号もない。町にはオリジナルのロゴマークもあり、地名にちなんで六の漢字を円周に6つ並べ、円の中心に荘の漢字をモチーフにした書体を配置したデザインだ。町が開拓された当時は、下水マンホールの蓋も特注品で、ロゴマークの入ったものが使用されていたという。

居住できるのは400平方メートル以上の豪邸のみ

富裕層が静かに自然の中で暮らしていた六麓荘町が大きな注目を集めるようになったのは、2006年度に芦屋市が条例を改正してからだ。

改正案により、すでにある住居を除き六麓荘町に建築できるのは敷地面積400平方メートル以上の住居のみとなった。ちなみに田園調布では、大田区が定める最低敷地面積は165平方メートルとなっており、六麓荘に家を構えるには、田園調布に建築する条件よりも倍以上の広さが必要となる。また、六麓荘では、店舗などの商業施設は認められず、コンビニといえどもこのエリアでは営業できない。

さらに、敷地面積に加えて建物の高さにも規定がある。軒の高さは7メートルまでとなっており、大型マンションなどの建設が制限されている。また、景観に配慮するため屋根の色にも規定があり、壁面の色と調和した落ち着いた配色を施すように求められる。こうした取り決めの効果もあり、家々には花崗岩の石垣が積み上げられ、重厚さの中にも美しさが漂う調和のとれた景観がエリア一帯に広がっている。

町内会の入会費は50万円

日本一の高級住宅街ともなれば、町内会費も桁違いのレベルになる。六麓荘町の町内会入会賛助金は50万円と、一般的な町内会費をはるかに超える。

町内会はエリア一帯の調和を保つため、新しい住宅の建設が持ち上がると近隣住民などが参加する説明会を開催する。建設内容が条例を満たしていても変更を依頼するケースもあり、過去には町内会の意向を受けて設計を変更した例もあるという。

さらに、日本一の高級住宅街ともなればコミュニティセンターも別格。町にある六角形のデザインが施された六麓荘倶楽部は、補助金に頼らずに建設された。公民館のような役割をコミュニティで果たす一方、1階部分は駐在所となっている。また、町内の各家庭とはメールやファックスなどで一斉に連絡するシステムも整備され、コミュニティ機能の強化にも積極的に取り組んでいる。

六麓荘町の住民は、条例から必然的に豪邸に住んでいることになるが、数々の町内独自のルールを遵守しながら、コミュニティの一因として高級住宅街の雰囲気の一旦を担う大きな責任も負っているのは事実だ。こうした1世帯ごとの地域へのコミットメントこそが六麓荘町を日本一の高級住宅街エリアとして確立しており、町の開拓当初の目的であった東洋一の別荘地という理想は今なお、脈々と受け継がれている。