1回の血液検査で50種類以上のがんを検出

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血中遊離DNA(cell-free DNA;cfDNA)のメチル化状態を解析する技術を用いることで、1回の血液検査で50種類以上のがんを検出でき、がんが存在する部位も特定できたとの研究結果を、米・Mayo ClinicのMinetta C. Liu氏らがAnn Oncol(2020年3月30日オンライン版)に発表した。同氏らは「将来的には、複数のがん種を早期に発見するための集団レベルでのスクリーニングに応用できる可能性がある」としている。

標的は約100万のメチル化領域

血中には細胞死により、細胞から放出されたcfDNAが存在する。cfDNAは健康な人でも検出されるが、健康な人とがん患者ではDNAのメチル化パターンが異なる。そのため、cfDNAにおけるメチル化の状態を解析することで、腫瘍細胞から放出されるDNA断片を検出できるという。

今回Liu氏らが報告した検査法は、ヒトゲノムに存在する約3,000万のメチル化領域のうち約100万の領域を標的としたもの。がんの有無やがんの種類の予測には、cfDNAにおけるがんおよび非がん細胞のシグナルのメチル化に関する大規模データベースを用いて学習させた機械学習の分類器を利用した。

対象は、がん患者(がん種は50種類超)2,482例とがんのない4,207例の計6,689例。対象をトレーニングセット(3,052例)とバリデーションセット(1,264例)に分け、分類器の予測能を検討した。

偽陽性率は1%未満

検討の結果、トレーニングセットとバリデーションセットでこの分類器による予測能は一貫していることが確認され、バリデーションセットにおける特異度は99.3%(95%CI 98.3~99.8%、偽陽性率は0.7%)であった。

ステージⅠ~Ⅲのがん12種類(肛門、膀胱、大腸、食道、頭頸部、肝/胆管、肺、卵巣、膵、形質細胞腫瘍、胃)における感度は67.3%(95%CI 60.7~73.3%)で、致死率の高いがん種でも一定の感度で検出可能であることが示された。一方、全てのがん類における感度は43.9%(同39.4~48.5%)だった。

また、がんが進行するに伴い検出率の上昇が認められた。前出の12種類のがんにおける感度は、ステージⅠで39%(95%CI 27~52%)、ステージⅡで69%(同56~80%)、ステージⅢで83%(同75~90%)、ステージⅣで92%(同86~96%)だった。一方、全てのがん種における感度はそれぞれ18%(同13~25%)、43%(同35~51%)、81%(同73~87%)、93%(同87~96%)だった。

さらに、がん陽性となった検体の96%で原発部位を予測でき、このうち93%で予測された部位が正確であることが確認された。

以上の結果を踏まえ、共同研究者でUS Oncology Network代表のMichael V. Seiden氏は「標的メチル化解析の技術を用いた血液検査法は①1回の検査で致死率の高いがん種を含めた複数のがんを極めて低い偽陽性率で検出できる②高い精度でがんが存在する部位を特定できる−といった観点から、集団レベルでのがんの早期発見を目指したスクリーニングに導入する血液検査の必要条件を満たしていると考えられる」と述べている。

(岬りり子)

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