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加熱式タバコの拡大受け4学会で対策

日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会、日本呼吸器学会は今年(2020年)4月1日時点の変更点を盛り込んだ『禁煙治療手順書 第7版』を各公式サイトで発表した。急速に広まる加熱式タバコへの対応が急務であり、情報通信機器を用いた禁煙治療に保険診療が認められたことを受け、6年ぶりに改訂された。

ブリンクマン指数を35歳未満の者に変更、指数は200以上

今回の改訂のポイントは次の3点である。

1つ目は、2016年の診療報酬改定で変更されたブリンクマン指数に基づく対象を反映したことだ。ブリンクマン指数とは、これまでの喫煙量が人体に与える影響を示す値で、1日の喫煙本数に喫煙年数を乗じて算出する。第6版では、禁煙治療を希望する35歳未満の者について、ブリンクマン指数200以上を診療要件としていた。

今回、これを廃し35歳以上の者との記載に変更した(ブリンクマン指数は200以上)。なお、未成年者のニコチン依存症の診療要件に関しては医学的に判断し、本人の禁煙の意志を確認するとともに家族と相談の上、算定するとの厚生労働省の見解に準じる。

オンライン診療との組み合わせが可能に

2つ目は、今年の診療報酬改定で急速に広まっている加熱式たばこも禁煙治療の対象となったこと。ただし加熱式たばこにはさまざまなタイプがあるため、ブリンクマン指数の算定法を示している。

  • タバコ葉を含むスティックを直接加熱するタイプ:スティック1本を紙巻たばこ1本として換算
  • タバコ葉の入ったカプセルやポッドに気体を通過させるタイプ:1箱を紙巻たばこ20本として換算

3つ目は、紙巻たばこ、電子たばことも禁煙治療には対面診療と情報通信機器を用いたオンライン診療を組み合わせて行えるとしたこと。治療評価についても両者の併用が認められた。

全5回の治療のうち初診は対面で行い、再診1~3回目をオンライン診療で、再診4回目を対面で行うことが条件となる。また治療評価は2~4回目をオンライン診療としている。

効果的な禁煙治療の推進に期待

『手順書』の初版は、ニコチンパッチが薬価収載された2006年に日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会の3学会で策定した。その後、禁煙補助薬バレニクリンの承認やニコチンパッチの一般用医薬品(OTC)化などに伴い改訂を重ねる中で、2010年刊行の第4版から日本呼吸器学会が参画した。

2005年に始まった世界保健機構(WHO)の「たばこ規制枠組条約」(関連記事「読み解くためのキーワード:たばこ規制枠組み条約」)の下、今後たばこの価格および税率の引き上げ、喫煙場所の制限といった取り組みが進むと考えられる。4学会は、多くの臨床現場で『手順書』を活用し、効果的な禁煙治療が推進されることに期待を寄せている。

(田上玲子)

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