不規則な睡眠が心臓病の原因に?
就寝、起床時刻が毎日ばらばらな人は、改めた方がいいかもしれない。睡眠パターンが不規則だと、心臓発作や脳卒中などの心血管疾患を発症するリスクが高まる可能性が、米・Brigham and Women's HospitalのTianyi Huang氏らの研究で示された。同氏らは、睡眠は長さだけでなく、規則正しさも重要だと指摘している。詳細は医学雑誌Journal of the American College of Cardiology(2020; 75: 991-999)に掲載されている。
規則的な睡眠パターンの人に比べてリスクが2倍に
睡眠の長さ(睡眠時間)と心血管疾患に関する研究は多いものの、睡眠パターンの規則性が心血管疾患の発症に及ぼす影響についてはほとんど知られていない。そこでHuang氏らは、睡眠パターンの規則性と心血管疾患発症リスクの関連を検討するために研究を行った。
同氏らは2010〜13年、心血管疾患のない45〜84歳の中高齢者1,992人(白人38%、アフリカ系アメリカ人28%、ラテン系アメリカ人22%、中国系アメリカ人12%)に腕時計型の活動記録デバイスを7日間装着してもらい、毎日の就寝・起床時刻を記録。睡眠時間、就寝時刻のばらつきを算出して睡眠パターンの規則性を評価し、2016年まで経過を追跡調査した。
その結果、4.9年間(中央値)の追跡期間中に111人が心血管疾患を発症した。これまでに明らかにされている心血管疾患の危険因子(年齢、高血圧、脂質代謝異常など)と他の睡眠関連因子(平均睡眠時間など)を調整した後、睡眠時間のばらつきの程度により4つのグループに分けて解析した。すると、ばらつきが最も大きいグループ(120分超)が心血管疾患を発症するリスクは、最も小さいグループ(60分以下)の2.14倍だった。同様に、就寝時刻のばらつきの程度で4グループに分けた解析では、ばらつきが最大のグループ(90分以上)の心血管疾患発症リスクは、最小のグループ(30分未満)の2.11倍だった。
同氏らは「今回の研究において、不規則な睡眠時間と就寝時刻は年齢、高血圧、脂質代謝異常や睡眠の量・質などにかかわらず、心血管疾患の発症リスクを高める可能性が示された。不規則な睡眠パターンは、改善することができる生活習慣である。就寝時刻を毎晩一定にすれば心血管疾患リスクを減らせるかどうかについては、今後の検討で明らかにしていきたい」と述べている。
(あなたの健康百科編集部)