食物繊維とヨーグルトで肺がんリスク低下
食物繊維とヨーグルトを摂取すると、肺がんのリスクが低下することを米・Vanderbilt University Medical CenterのJae J. Yang氏らがJAMA Oncol(2019年10月24日オンライン版)に発表した。
摂取量が多いグループと少ないまたは摂取しないグループで比較
食物繊維を多く含む食品やヨーグルトを食べると、心血管疾患と消化器がんの予防に効果的であることが知られている。今回新たに、これらの食品が肺がんも予防する可能性が研究で示された。
Yang氏らは、米国、欧州、アジアの成人144万5,850人(男性62万7,988人、平均年齢57.9歳、女性81万7,862人、同54.8歳)が参加した10件の研究データを2017~19年に調査した。
研究参加時にがんを発症していた人、参加から2年以内にがんを発症した人、途中で亡くなったり、追跡できなくなったりした人は調査から除外した。その上で、参加者を食物繊維、ヨーグルトの摂取量が少ない順にそれぞれ5グループ、3グループに分けた。参加者の食物繊維摂取量は中央値で1日当たり18.4g、ヨーグルトの摂取量が確認できたのは全体の62.2%で、中央値は1日当たり23.3gであった。
調査の結果、中央値で8.6年の追跡調査期間中に1万8,822人が肺がんを発症した。喫煙の状況や年数、その他の肺がんを引き起こす可能性がある要因が結果に影響を及ぼさないようにしたところ、食物繊維とヨーグルトの摂取量はいずれも肺がんを発症するリスクと反比例していた。食物繊維の摂取量が最も少ないグループの危険性を100とした場合、最も多いグループは83、ヨーグルトを全く摂取しないグループを100とした場合、最も多いグループでは81と、いずれも摂取量が最も多いグループで明らかに肺がんを発症しにくかった。
また、ヨーグルトを摂取せず食物繊維の摂取量が最も少なかったグループを100とすると、食物繊維とヨーグルトの摂取量が最も多かったグループでは67となり、明らかに肺がんを発症しにくかった。
腸内細菌叢に好影響を及ぼす可能性
Yang氏とともに調査を実施した同大学のXiao-Ou Shu氏は「われわれの研究は、食物繊維とヨーグルトの摂取を推奨している米国の食事ガイドライン(2015~2020年版)を支持する強力な証拠になる」と述べている。さらに、「これらを摂取すると、腸内細菌に良い影響を与えて、健康の維持や増進にメリットをもたらしているのかもしれない」と補足している。
(あなたの健康百科編集部)