飼い主がドキドキするとイヌもドキドキ

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楽しいときには一緒にはしゃぎ、悲しいときには寄り添ってくれる。イヌは人類の最も古い友人で、最大の理解者である。種の違うヒトとイヌでなぜこれほど心が通い合うのか、これまでさまざまなアプローチで研究が行われてきた。今回、日本の研究グループにより、飼い主がストレスを感じて心拍が速まるとその様子を見ているイヌの心拍も速まることが確認された(麻布大学プレスリリース)。異種間において「情動伝染」の存在が証明されたのは、これが初めて。

飼育期間が長いほど心拍変動が同期

麻布大学を中心とした研究グループでは2015年に、幸福ホルモンと呼ばれるオキシトシン(赤ちゃんが信頼している保護者に触れられ、安心した時にも分泌)が、飼い主とイヌが見つめ合った際、両者に分泌されることをScienceに報告している。これはヒトとイヌが視線を介して、信頼や絆を形成しうることを示すものという。

今回、同グループでは他者の感情を自分のもののように感じる情動伝染が、ヒトとイヌの間に存在するのかを心拍変動解析を用いて検討した。対象は飼い主とイヌの13組のペアで全員(犬)が心拍計を装着。飼い主の心拍は安静状態および心的ストレスを感じる状態(見学者の前で暗算や文章の説明課題を行う)で、10秒間隔で測定を行った。飼い主だけを見ることができる場所に置かれたイヌについても、飼い主と同時に心拍を測定した。

解析の結果、数組で心拍変動が同期しており、ヒトからイヌへの情動伝染の存在が認められた。同期組と非同期組を比較したところ、飼育期間の長いペアほど同期しやすいという相関関係が認められた。また、オスイヌよりメスイヌの方が同期しやすい傾向が見られた。

情動は秒単位で変化するため、これまで正確な評価が困難であったが、今回の検討によりヒトとイヌという異種間でも情動伝染の存在が確認された。共に生活する時間が長いほど情動伝染が起こったことは、情動伝染の進化要因は遺伝的関係性より生活環境の共有にあるとする進化理論に合致するという。

健全で高度な人間社会を成立させるには共感性が重要で、心理学、脳科学、社会科学、人工知能開発などさまざまな領域で共感性の研究が進められている。情動伝染は共感性の初歩的な段階とされ、ヒトとイヌの長く深い関係性を紐解くことは共感性の理解につながると考えられる。

(あなたの健康百科編集部)


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