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中高年期の睡眠不足がアルツハイマー病のリスクに

中高年期を迎えると、仕事や家事に加えて家族の介護などに追われ、十分な睡眠が取れていない人も多いのではないだろうか。米・カリフォルニア大学バークレー校のJoseph R. Winer氏らは、50~60歳代で睡眠の質が低下している人は、将来的にアルツハイマー型認知症(AD)を発症するリスクが高いとJournal of Neuroscience2019年6月17日オンライン版)に報告した。たかが睡眠不足と侮ると、代償は小さくないようだ。

睡眠不足の中高年人口が増えている

厚生労働省の国民健康・栄養調査報告によると、50歳代の日本人で睡眠で休養が十分に取れていない人の割合は、2009年度調査の19.9%に対し2017年調査では28.4%に増加している。睡眠不足は集中力や記憶力の低下などを招き、日常生活に支障を来す他、近年では高血圧やADの発症にも関与することが報告されている。

睡眠不足は、脳内の異常蛋白質の蓄積や脳波の不調を招く

ADでは、脳の記憶をつかさどる領域に異常蛋白質が蓄積して神経細胞死が促進され、認知機能や記憶力などが低下する。ADと関わる異常蛋白質として、アミロイドβやタウなどが知られている。Winer氏らは、高齢者95人を対象とした研究で、陽電子放出断層撮影法(PET)を用いてこれらの異常蛋白質の蓄積量を評価し、睡眠の質との関連性を検討。その結果、50~60歳代で睡眠不足を訴える人では、そうでない人に比べてタウ蛋白の脳内蓄積量が多かったという。

同氏らは以前から、睡眠中に徐波と紡錘波という2種類の脳波がうまく同調しないことが、記憶の低下と関連すると報告している。そこで、31人の高齢者を対象に異常蛋白質の蓄積量と脳波の同調性との関連を解析。その結果、タウ蛋白の蓄積量が多い人ほど、脳波の同調性に問題があることを見いだした。

良質な睡眠でAD発症を予防

Winer氏は「50~60歳代で睡眠不足を訴える人は、将来的にADを発症するリスクが高い。また異常蛋白質の蓄積はAD発症の約20年前から出現するともいわれているため、できるだけ早期からの発症予防対策が重要」と主張する。例えば、いびきや睡眠時無呼吸の治療、認知行動療法をはじめ、カフェイン・ニコチン・寝る前のアルコール摂取を控える、日光を適度に浴びる、眠れないときは寝床を離れて眠くなるまで別のことをする、などが有効だという。

(あなたの健康百貨編集部)


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