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長時間労働を続けると脳卒中リスクが上昇

長時間労働は脳卒中リスクを高め、長時間労働状態が10年以上続くとそのリスクはさらに高まることが、フランス人14万例超を対象とした検討で明らかになった。1日10時間以上の長時間労働を10年以上続けていた人では、脳卒中リスクが45%上昇していた。詳細は医学専門誌Stroke2019; 50: 1879-1882)に報告された。

50歳未満は10年以上の長時間労働でリスクが倍増

長時間労働は心臓病や脳卒中の危険因子となる可能性がある。日本では過労死の原因の60%が脳卒中であったと報告されている。

今回フランスの研究者らは、同国に居住する18~69歳を対象に2012年に開始された大規模コホート研究CONSTANCESの参加者14万3,592例(男性7万2,551例、女性7万1,041例)を対象に、自己記入式質問票とインタビューによる調査を行い、長時間労働と脳卒中リスクの関係について検討した。この研究では、長時間労働を1日10時間以上の労働に年間50日以上従事した場合と定義。パートタイム勤務者と脳卒中の既往歴がある人は除外した。

対象のうち長時間労働経験者は4万2,542例(29.6%)、長時間労働10年以上継続者は1万4,481例(10.1%)だった。全体では1,224例が脳卒中を発症していた(0.9%:男性691例、女性533例)。

得られたデータについて、年齢、性、BMI、高血圧、糖尿病、心血管疾患の家族歴、喫煙の有無を調整し、統計的な解析を行ったところ、脳卒中発症リスクは、長時間労働経験者では非経験者に対して29%上昇し、長時間労働を10年以上続けた人ではそうでない人に対して45%上昇することが分かった。

50歳未満では、10年以上継続した長時間労働により脳卒中発症リスクが2倍以上に上昇した。長時間労働と脳卒中発症リスクの関係に男女差は認められなかった。

ホワイトカラー層でよりリスクが上昇

次に職種別に検討したところ、個人事業主、経営者、最高経営責任者、専門職、農業従事者では、10年以上継続した長時間労働による脳卒中発症リスクの上昇幅は少なかったが、高度な技術を必要とするホワイトカラーでは、10年以上継続した長時間労働により脳卒中発症リスクが77%上昇した。

研究者らは「大規模なコホート研究のデータから、長時間労働と脳卒中発症リスクは関連していることが示された。医療従事者の多くは今回の長時間労働の定義よりもはるかに長い時間働いており、脳卒中リスクがさらに高まっている可能性がある」と注意を喚起している。

これまでの研究でも、個人事業主、経営者、最高経営責任者、専門職、農業従事者では、長時間労働が脳卒中リスクに及ぼす影響が小さかった。その原因として、研究者は「これらの職種では、他の職種と比べて仕事の自己裁量の範囲が広いことが関係しているのではないか」と考察している。さらに、不規則なシフト勤務、夜勤、仕事のストレスが不健康な労働環境の原因となっている可能性についても指摘している。

(あなたの健康百科編集部)


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