なぜ、確認行動はやめられないのか

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外出後に「鍵をかけ忘れたかも」と不安になって引き返した、明日のテストが心配で眠れなくなった、大事なプレゼン資料に間違いがないか何度も確認したという経験がある人は少なくないだろう。これらの不安や強迫傾向に関する行動は、自分の意志で行っているにもかかわらず、時にやめられないこともある。広島大学大学院総合科学研究科准教授の杉浦義典氏と米・セントラルフロリダ大学准教授のBrian Fisak氏らの共同研究グループによると、こうした行動のメカニズムにはある性格が関係しているという。

不安や強迫傾向は紀元前から存在

不安や強迫傾向に関する行動は、紀元前の周の時代に「天が落ちてきたらどうしよう」と不安になり、食べることも寝ることもできなくなった人がいたという「杞憂」の故事があるように、古くから存在する。こうした行動の度が過ぎると、人間関係や日常生活に支障を来したり、全般性不安症や強迫症と診断されることもある。

不安や緊張から汗をかいたり赤面したりするのは無意識に起こる現象なので、やめたくてもやめられない。一方、不安に駆られて書類や戸締まりを何度もチェックするのは自分の意志である。にもかかわらず、やめられない人がいるのはなぜだろうか。

杉浦氏らはこれまでの研究で、ネガティブ思考や義務感が強い人は反復思考(1つの物事を繰り返し考えてしまう)を持つ傾向も強いことを明らかにしている(パーソナリティ研究 2018; 26: 263-272)。反復思考が強い人は、反復行動を取りやすいと想定される。

そこで今回、2種類の質問票〔①同氏らが開発した心配を強める責任感を測定するResponsibility to Continue Thinking Scale (RESP)②英・オックスフォード大学が開発した強迫傾向と関連する責任感を測定するResponsibility Attitudes Scale (RAS)〕を用い、米国人大学生539人を対象にアンケートを実施、義務感や責任感と全般性不安症および強迫症との関連について検討した。

自責と義務感が不安や強迫傾向に関連

その結果、責任感は①よくないことが起こるのを避けなくてはいけない②よくないことが起こった場合、責任を一人で抱えて自分を責める③困った問題についてとことん考え抜かないといけないし、考え続けなくてはならない−の3タイプに分類できることが分かった。

次に、それぞれの責任感のタイプと心配や強迫傾向との関連を解析したところ、②自分のことを責める傾向が強い人と③考え続ける義務感が強い人では、心配と強迫傾向の両方が強いことが示された。

これらの結果を踏まえ、杉浦氏らは「自責の感情は、ネガティブな感情の中でも特に苦痛の度合いが強いことが分かっている。そのような気持ちに追い詰められることで、心配や確認などの強迫症状を続けてしまうのではないか」とし、「心配や確認を続けなければならないという義務感を感じても、どこまでやれば十分という明確な基準はない。そのため、自責の感情も加わり『まだだめだ』『この問題は私の能力を超えている』とネガティブな判断を下してしまい、『もう大丈夫』という納得を得る=やめることができないのではないか」と考察している。

その上で「全般性不安症や強迫症の患者では、過剰な責任感を緩和することが有用と思われる。自責の傾向の緩和には、自分を慈しむような温かいイメージを思い浮かべたり、つらい状況にある自分に向けた手紙を書いたりするコンパッショントレーニングという方法もある。現在、考え続ける義務感を減らすための方法を開発中で、いずれ成果を公表する予定だ」と展望している。

なお研究結果の詳細は、医学誌International Journal of Congnitive Therapy2019年4月4日オンライン版)に掲載されている。

(あなたの健康百科編集部)

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