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仮想通貨の取引に精神疾患の危険性あり

昨今話題の仮想通貨。決済にかかる手間やコストなどが抑えられるという利点があるが、健康を損なうリスクも潜んでいることが明らかにされた。米・Rutgers UniversityのDevin J. Mills氏らは、定期的にギャンブルを行っている約900人を対象にオンライン調査を実施。仮想通貨の取引がギャンブル障害や抑うつ、不安感が生じ、体にさまざまな症状が出る不安症状と関連すると報告した(Addict Behav 2019; 92: 136-140)。今後はギャンブル依存症の診断や治療に、仮想通貨取引の経験の有無を加味すべきとの見方を示している。

仮想通貨取引とリスクの高い株取引に関連性

代表的な仮想通貨であるビットコインは、2017年後半のピーク時には約2万ドルで取引された。頻繁にギャンブルを行う人にとって、こうした仮想通貨の取引は、他のギャンブルと似た気分の高揚感を味わえる、新たなリスクを伴う行為であると考えられるという。

Mills氏らは、オンライン調査に当たってAmazonのウェブサイトに広告を掲載。調査には、過去1年間で月に1回以上ギャンブルを経験した成人876人(男性58.33%、平均年齢33.74 歳)が参加し、①ギャンブル障害の重症度②心と体の状態③不安症状-に関する設問に回答した。なお、参加者の半数以上が過去1年以内に仮想通貨取引を行っていた。

調査の結果、仮想通貨取引はギャンブル障害の重症度と強く関連していた。また、スポーツ賭博、ギャンブル要素を含むゲームであるデイリーファンタジースポーツ、高リスクの株取引をする人やギャンブル障害がある人ほど、頻繁に仮想通貨取引を行っていた。

一方で、カジノでのギャンブル経験がある人では、仮想通貨取引の頻度が低下した。

仮想通貨取引と高リスクの株取引を実施している人はかなり重複しており、どちらの取引も行っている人は、いずれか一方しか行っていない人と比べてより重いギャンブル障害や抑うつ、不安症状を報告した。

同氏らは「仮想通貨取引はギャンブルと似ているが、匿名かつ無秩序で、24時間参加可能である」とし、「ギャンブルに関連する問題を抱える人は、衝動を抑え込めず、"勝てる"という確信によって、より頻繁に仮想通貨取引を行うリスクが高い」と考察した。また、仮想通貨取引とリスクの高い株取引はともに常習性があることから、「ギャンブルに関する研究や精神疾患の治療において、これらをよりいっそう注目する必要があるだろう」と指摘している。

(あなたの健康百科編集部)


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