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フェイスブックで身体の健康状態が悪化?

利用者は20億人以上に上るといわれるフェイスブック(FB)。世界で最も普及しているこのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)によって、身体に不調を来す人がいることを英・サリー大学健康心理学上級講師のBridget Dibb氏が報告した。FBで自分を他人と比較することや、FBは自分の生活に欠かせないものだという認識が、身体の健康状態に悪影響を及ぼしていることが示されたという。詳細は学術誌「Heliyon」(2019年1月8日オンライン版)に掲載されている。

『ポジティブな上方比較』が身体症状に関連

人は誰しも、他人と自分を比較する『社会的比較』という行為を行っている。特に自分の置かれた状況が不確実なときによく行われ、自己評価のよりどころとしての役割を担う。自分より上の存在と捉えた人と比べる行為は上方比較、下の存在とみなした人と比べる行為は下方比較と呼ばれる。

さらに、社会的比較にはポジティブな比較と、ネガティブな比較がある。例えば、上方比較において「自分もああなりたいから頑張ろう」と感じればポジティブ、「ねたましい、気に食わない」などと思えばネガティブな比較となる。下方比較で「自分の立場でよかった」と感じることはポジティブ、軽蔑や非難の感情が生じればネガティブな比較である。

Dibb氏らは今回、SNSでの社会的比較が身体の健康状態にどのような影響を及ぼすかを調査した。対象は18歳以上のFB利用者165人(平均年齢31.4歳、年齢範囲18〜70歳、男性55人、女性110人)。FB利用度、FBで行っている社会的比較、自己肯定感の度合い、不安やうつを感じている程度、生活満足度、身体的健康状態(睡眠障害、体重の変化、疲労、筋肉の緊張などに悩まされている程度)−の各項目について評価スケールを用いてアンケートを行い、スコア化した。そして、階層的線形モデルという手法でデータを解析し、社会的比較と身体的健康状態との関連を検討した。

その結果、性別(女性であること)、不安、うつ、ポジティブな上方比較が身体的健康状態の悪化と関連していた。ポジティブまたはネガティブな下方比較、ネガティブな上方比較は、いずれも身体的健康状態と関連していなかった。FB利用度と身体的健康状態の間にも関連が見られた。すなわち、FBは自分の生活に欠かせないと認識している人ほど、身体的健康状態の悪化をより強く感じていた。

「本研究で、たとえポジティブな社会的比較であっても、身体症状が引き起こされる可能性が示された。また、FBは自分の生活にかけがえのないものだと感じる気持ちも、身体的健康状態の悪化と関連していることが分かった」と同氏は述べている。

(あなたの健康百科編集部)

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