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運動と長生きの関係

スペイン・University Hospital A Coruñaの循環器内科医であるJesús Peteiro氏らは、運動テストの結果を用いて心血管疾患、がん、その他の原因による死亡リスクを予測できる可能性があることを発表した(EuroEcho-Imaging 2018、12月5~8日、イタリア・ミラノ)。運動は健康に良いとよくいわれるが、長生きには運動が重要であることが改めて証明された形となった。

運動強度が高いと死亡率が低い

研究は、心臓の筋肉(心筋)への血液供給が遮断されてしまう冠動脈疾患が認められた、あるいはその疑いがある1万2,615例を対象に行われた。被験者は、運動負荷をかけるトレッドミル試験を実施。マシンの上を歩くか走り、限界に到達するよう徐々にマシンをスピードアップさせて、心エコー検査で心肺機能を調査した。

これらの被験者を4.7年(中央値)追跡し、全体の死亡数を見た。その結果、死亡の内訳は心血管疾患1,253例、がん670例、その他の原因650例であった。年齢、性別など結果に影響を与えうる運動以外の因子を調整して検討したところ、トレッドミルによる身体活動の強度(MET)の程度が関連していることが分かった。1MET達成ごとに、心血管疾患による死亡、がんによる死亡、その他の原因による死亡がそれぞれ9%、9%、4%低下していたのである。また、被験者をベースライン時のトレッドミル試験の結果により、10METs以上を達成できた心肺機能が良い群、または達成できなかった心肺機能が悪い群に分け、それぞれの死因別に死亡率を見ると、心血管疾患(1.2% vs 3.2%)、がん(0.6% vs 1.7%)、その他の原因(0.8% vs 1.5%)とも、心肺機能が悪い群で高かった。

※身体活動の強さを、安静時の何倍に相当するかで表す単位で、座って安静にしている状態が1MET、普通歩行が3METs。10METsとなると161m/分のペースで6分間のランニングが目安となる

ビルの3~4階まで早歩きで上りきることができるかどうかが目安

この結果を受け、Jesús Peteiro氏は「今回、改めて健康や長生きのための運動の利点が示された。体重をコントロールするよう心がけるとともに、運動することで、血圧や脂質に良い影響を与え、炎症を抑制し、腫瘍への免疫反応を高めると考えられる」と述べた。

本研究では、トレッドミル試験や心エコーにより心肺機能が検査されたが、同氏は「わざわざトレッドミル試験や心エコー検査を行う必要はない。ビルの3~4階まで立ち止まることなく早歩きで上ることができれば心肺機能が良い証拠で、できなければもっと運動が必要なサインである」と、身近な方法を提案した。なお、欧州心臓病学会では、運動の目安として、週150分以上の適度な有酸素運動または週75分の激しい有酸素運動、あるいはその両方を推奨している。

(あなたの健康百科編集部)

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