コーヒー1日4杯で得られる健康メリットとは
コーヒーの功罪に関してさまざまな研究結果が報告される中、コーヒーを支持するエビデンスが新たに追加された。中国・青島大学などの研究グループは、米国人女性の健康に関する前向き疫学研究を解析。カフェイン入りのコーヒーを1日4杯以上飲む女性で、酒さリスクの明らかな低下が見られたが、茶や炭酸飲料、チョコレートなど他の食品からのカフェイン摂取ではリスクの低下が確認できなかったと報告した。研究の詳細は、10月17日発行の「JAMA Dermatology」(電子版)に掲載されている。
ポイント
●米国人女性8万人超を解析
●コーヒー1日4杯以上で23%のリスク減
米国人女性8万人超を解析
酒さは炎症性の皮膚疾患であり、顔に赤みが出現するのが特徴だ。原因は不明だが、発症には日光やアルコール、カフェイン、辛い食べ物、熱い飲み物などの関与が指摘されている。カフェインには血管の拡張抑制や免疫抑制といった作用があり、それらは酒さのリスクを低下させると考えられる。しかし、カフェインの摂取と酒さリスクとの関係はよく分かっていない。
そこで研究グループは今回、1989年にスタートした米国人女性看護師を対象とする前向き疫学研究Nurses' Health Study Ⅱ(NHSⅡ)のデータを用いて、コーヒーを含む複数の食品からのカフェイン摂取と酒さリスクとの関連を検討した。
解析対象は、NHSⅡ登録女性のうち2005年に酒さの診断に関する質問に回答した8万2,737人で、登録時の平均年齢は50.5歳だった。1991年から2005年まで追跡し、コーヒー、茶、ソーダ、チョコレートの摂取について4年ごとに調査を行った。解析に当たり、年齢、人種、閉経後ホルモン補充の有無、飲酒、喫煙、BMI、身体活動レベルを補正した。
コーヒー1日4杯以上で23%のリスク減
追跡期間中に酒さと診断されたのは4,945人だった。カフェイン摂取量が多いグループ(411mg/日以上)では、少ないグループ(46mg/日以下)に比べて酒さリスクが24%低かった。また、カフェイン入りコーヒーを1日4杯以上飲むグループでは、1カ月に1杯未満しか飲まないグループと比べて酒さリスクが23%低かった。
一方、カフェインレスコーヒーの摂取では、酒さリスクの低下は見られなかった。さらに、茶や炭酸飲料、チョコレートといったコーヒー以外の食品からのカフェイン摂取でも、酒さリスクの低下は示されなかった。
今回の研究から、米国人女性のカフェイン摂取およびカフェイン含有コーヒーの摂取で酒さリスクが低下することが確認された。この結果について、研究グループは「これまで、酒さの予防にはカフェインの摂取を控えることが推奨されてきたが、今回得られた知見はそれを支持するものではなかった」とコメント。加えて、「酒さのメカニズム解明だけでなく、酒さのタイプごとにカフェイン摂取との関係を明らかにするためにも、さらに研究を重ねる必要がある」との意向を示している。
(あなたの健康百科編集部)