入浴習慣は心臓や血管に好影響
北欧フィンランドでは、サウナの習慣が心臓や血管の病気を減らすことが報告されている。日本人では昔から湯船につかる入浴を好んでおり、サウナと同様の効果が期待されている。
週に5回以上の入浴が有効
愛媛大学社会共創学部および医学部附属病院抗加齢・予防医療センターによれば、入浴習慣が心機能や動脈硬化と関係することが明らかになった。入浴が、心臓や血管の機能の保護に役立つ可能性が示されたのである。
同センターでは、抗加齢ドックの受診者を対象に、入浴頻度や湯温に関するアンケートを実施した(873人から回答)。動脈硬化の目安として、頸動脈の血管壁の厚さ(IMT)、心臓から身体各部への血液の伝達速度(baPWV)を計測した。また血圧の指標を求め、心臓への負荷の指標として血中B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)※を測定した。
平均の入浴時間は12.4分だった。週に5回以上入浴する人は、4回以下の人に比べて、baPWV、血圧、BNP濃度が低かった。湯の温度を加えた解析の結果から、熱めの風呂はbaPWVの低値と関係し、入浴頻度は血中BNPおよび血圧と逆の相関を示した。すなわち、週5回以上の入浴習慣がある人では心臓のダメージが抑えられていること、また熱めの風呂に入る人は、動脈硬化の進展が抑制されていることが分かった。
水圧による圧迫も心機能改善
入浴には、お湯による温熱効果とともに、水圧による圧迫効果がある。水圧により末梢血管の血液が体の中心に集まり、これが心機能の改善につながることが知られている。
今回の研究を行った社会共創学部の小原克彦教授は、「入浴にもサウナと同様の効果が期待できる。最適な湯の温度や入浴方法に関しては、今後の検討が待たれる」とした。
(愛媛大学プレスリリースから作成)
(あなたの健康百科編集部)