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寝る前のヨガ音楽で心血管疾患リスクを低減

ヨガを行う際に使用する瞑想的なヒーリングミュージック(ヨガ音楽)を就寝前に聴くことで、心血管疾患のリスクを低減させることができるかもしれない。インド・HG SMS 病院のNaresh Sen氏らは、就寝前のヨガ音楽が人体に与える影響を調べ、欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25~29日、ミュンヘン)で報告した。

心拍変動が増大、ポジティブな気持ちに

音楽が心疾患患者の不安を軽減するという報告はこれまでにもあった。しかしながら、患者や健康な人の心臓に音楽が与える効果については一貫性のない報告結果が多く、特にどのような種類の音楽が効果的かについては明らかでなかった。

ヒトの心拍の間隔は常に変動しており、それを心拍変動という。心拍の間隔はゆらいでいるのが正常な状態であるが、薬などによって自律神経に異常を来すとゆらぎが消え、心拍変動が減少する。心拍変動の低下は、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を発症するリスクの上昇(32~45%)と関連があるとされている。

Sen氏らは、就寝前に聴くヨガ音楽の効果を、心拍変動を見ることで調べた。健康な149人(平均年齢26歳)を対象とし、①就寝前にヨガ音楽を聴く②就寝前にポップ音楽を聴く③就寝前に音楽を聴かず静寂の中で過ごす―という3通りのセッションを3夜で実施した。

各セッションで、音楽/静寂の開始前5分間、音楽/静寂中の10分間、終了後5分間、対象者の心拍変動を観察した。さらに、各セッションの前後に不安度の指標である「Goldberg Anxiety Scale」を用いて不安レベルを測定。ポジティブな感情は、「visual analogue scale」を用いて参加者の主観で評価した。

その結果、対象者の心拍変動は、ヨガ音楽を聴いている間に増大し、ポップ音楽の間は減少していた。音楽を聴いていないときは、大きな変化がみられなかった。

また、対象者の不安レベルはヨガ音楽を聴いた後に有意に低下した一方、ポップ音楽を聴いた後は有意に上昇。音楽を聴かなかった場合も上昇していた。また、ポジティブな感情に関しては、ヨガ音楽を聴いた後、ポップ音楽を聴いた後に比べて対象者は有意にポジティブな気持ちになっていた。

Sen氏は、音楽などホリスティックな医療は、薬などのエビデンスに基づいた医療の代替にはならず、追加的に行うものであることを強調。その上で「さらなる研究が必要ではあるが、ヨガの音楽を聴くことで心臓には好ましい影響がみられた。害がなく、安価で簡単に実践できる予防・治療法となる可能性がある」と説明した。

(あなたの健康百科編集部)

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