メンタルヘルス改善にはチームスポーツがオススメ
適度な運動は、脳卒中などの心血管疾患や糖尿病をはじめ、さまざまな病気のリスクを低下させることが知られているが、メンタルヘルスとの関係はまだはっきりと分かっていない。このたび、米国の研究グループが医学誌Lancet Psychiatryに発表した研究(2018年8月8日オンライン版)によると、日常的に運動している人は運動していない人に比べ、1カ月のうちにメンタルヘルスが悪化する日数が1.49日短くなっていた。
サイクリングやエアロビクスも効果大
研究グループは、2011、13、15年に米疾病対策センター(CDC)の調査システムに登録された、米国の成人123万7,194人のデータを使用。過去1カ月のうちに日常の仕事以外に運動を行ったグループと行っていないグループに分類し、「メンタルヘルスが不良である」と自己申告した日数について比較を行った。あわせて、メンタルヘルスに対する運動のタイプ、期間、頻度、強度の影響についても調べた。
その際、研究グループは調査の対象にした運動の種類を、①エアロビクスやスポーツジムでの運動、②サイクリング、③家事、④チームスポーツ、⑤レクリエーション活動、⑥ランニングとジョギング、⑦ウォーキング、⑧ウィンタースポーツあるいはウォータースポーツの8つに分類した。
調査の結果、運動を行ったグループは行っていないグループに比べ、メンタルヘルスが悪化した日数が1.49日短かった。また、全ての種類の運動がメンタルヘルスの改善と関連しており、とりわけチームスポーツは22.3%、サイクリングは21.6%、エアロビクスやスポーツジムでの運動は20.1%も、メンタルヘルス悪化日数を減少させた。
運動のし過ぎはむしろ逆効果!?
しかし、この研究はあわせて、運動の量を増やせば増やすほどメンタルヘルスが改善する訳ではない、ということをも示唆していた。頻度にして1週間あたり3〜5回、時間にして1日あたり30〜60分の運動がメンタルヘルスの改善に最も効果的である一方、それぞれこれより多くても少なくても、メンタルヘルスが改善する日数は減少していた。
こうした結果について研究グループのAdam M. Chekroud氏は、「これまでは、運動すればするほどメンタルヘルスは改善すると考えられていたが、1カ月に23回以上の頻度、あるいは1日に90分以上の長さで運動を行うと、むしろメンタルヘルスが悪化してしまうことが分かった」とコメントしている。
(あなたの健康百科編集部)