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体重増でも、やっぱり禁煙にメリットあり

「たばこをやめたいけど、禁煙して太るのはいや」という声は、女性を中心に多く聞かれる。真偽のほどは定かではないが、「たばこをやめると太る」というのは通説となっている。健康のためにたばこをやめても、太ってしまっては、かえって体に悪影響を及ぼすのでは?という心配も出てきそうだ。このたび、米国のハーバード公衆衛生大学院などの研究グループが、禁煙後の体重増加に関する興味深い研究結果を報告した。禁煙後の大幅な体重増加は、一時的には糖尿病のリスクを上昇させるが、死亡リスクの低下というメリットは維持されるという。詳細は、医学誌「The New England Journal of Medicine」(2018; 379: 623-632)に掲載されている。

糖尿病リスクは一時的に上昇も、死亡リスクは上昇せず

たばこをやめた後に体重が増えることで、禁煙によるメリットが弱まるか否かについては不明である。そこで研究グループは、米国の男女を対象とした3つの追跡研究を使い、禁煙していると申告した人の禁煙後の体重変化と、糖尿病の発症、心血管疾患による死亡、あらゆる原因による死亡のリスクとの関連を調べた。

その結果、禁煙歴の浅いグループ(禁煙後2~6年)における糖尿病の発症リスクは、現在喫煙しているグループの1.22倍と高かった。また、禁煙者全体で見ると、糖尿病発症リスクは、禁煙後5~7年でピークに達し、その後徐々に低下した。糖尿病の発症リスクの一時的な上昇は、禁煙後の体重増加と関連していて、禁煙後6年間体重増加のないグループではリスクの上昇は見られなかった。

一方、死亡に関しては、禁煙後の体重変化にかかわらず、糖尿病で見られたような一時的なリスクの上昇は確認できなかった。また、禁煙歴の浅いグループが心臓血管疾患により死亡するリスクは、現在喫煙しているグループの0.48倍だった。禁煙後の体重増加別に見たところ、体重増加のないグループでは0.69倍、体重増加が0.1~5.0kgのグループでは0.47倍、5.1~10.0kgのグループでは0.25倍、10.0kgを超えるグループでは0.33倍だった。あらゆる原因を合わせた全死亡リスクも、同様の傾向が示された。

以上より、研究グループは、「大幅な体重増加を伴う禁煙は、短期的には糖尿病のリスクを上昇させるが、心血管疾患による死亡リスクおよび全死因の死亡リスクを低下させるという禁煙のメリットは揺るがない」と禁煙の有効性を強調した。

(あなたの健康百科編集部)

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