ネットでのポジティブ感情はうつを改善しない
若年世代では、TwitterやFacebookなどソーシャルメディアが日常のコミュニケーション手段になっている。米・ピッツバーグ大学の研究によると、ソーシャルメディアによる交流で受けるポジティブな感情はうつ症状を低下させるものの、統計学的には関係性が否定された。一方、ネガティブな感情を受けるとうつ症状が悪化、こちらは統計学的な差が確認された。詳細はDepress Anxiety(2018年6月6日オンライン版)29877002に掲載された。
うつ症状がネガティブな感情交流を求める?
ソーシャルメディアを利用している人の多くは他人との交流を通じて好ましい感情を得ようとしているが、これまでの疫学研究では逆にうつ症状を増悪させてしまうことが分かっている。そこでピッツバーグ大学の研究チームは、ソーシャルメディアによる交流で受けるポジティブな感情、ネガティブな感情とうつ症状との関係を調査した。
2016年8月にウェストバージニア大学の学生1,179人(18~30歳)を対象にソーシャルメディアでの体験、うつ症状に関するアンケートを行った。全体の62%が女性、51%は独身だった。
その結果、ポジティブな感情が10%増すごとにうつ症状のオッズが4%減少していたが、統計学的に意味のある変化とはいえなかった。一方、ネガティブな感情が10%増すごとにうつ症状の起こりやすさは20%上昇しており、こちらは意味のある変化だった。
研究グループは、「ネガティブな感情がうつ症状を悪化させたのか、それともうつ症状の強い人がネガティブな感情を引き起こすソーシャルメディアでの交流を志向しているのかは、われわれの研究だけでは分からない」としている。また、「統計学的に意味はなくても、ソーシャルメディアでポジティブな感情を得ることは価値のあることだ」と述べている。
(あなたの健康百科編集部)