はしかなどの感染予防に母子手帳が一役
今年(2018年)3月に沖縄県で確認されて以降、日本各地で徐々に発症者数が増加しているはしか(麻疹)。その予防には、適切なワクチンの接種が効果的だ。ファイザーは小さな子供を持つ母親を対象に、ワクチン接種に関するアンケートを実施し、先月その結果を公表。母子健康手帳(母子手帳)を活用すると、ワクチンを正しく接種して、感染症予防の効果を高めることができると報告した。
母子手帳を病院で見せる人は追加接種率高い
アンケートは昨年12月に5歳の子供を持つ母親約1万人を対象に、インターネットで行われた。
その結果、子供の診察時に母子手帳を「いつも見せている」との回答は、全体で44%だった。1歳児の母親では60%に上った一方、5歳児では37%にとどまった。子供の年齢が高くなるにつれ、母子手帳を見せる割合は低下する傾向があった。
なぜ、母子手帳をいつも見せるとは限らないのか尋ねたところ、「医療機関で見せてほしいと言われないから」が9割強と、大半を占めた。
さらに、2~5歳の子供を持ち、ワクチンの接種スケジュールを守れているとした母親に、代表的なワクチンの1つである肺炎球菌ワクチンの追加接種を実施したかどうか聞いた。
すると、手帳を「いつも」、「時々」、「予防接種の時のみ」見せている母親は、合わせて94%が実施していたが、「見せていない」母親は86%と、実施率が比較的低かった(図)。
調査結果から、同社は「母親などの保護者が母子手帳を見せて医師とコミュニケーションをとることで、より適切なワクチン接種が実施できる可能性がある」としている。
この春から集団生活を始めた子供を持つ親にとって、はしかをはじめとした感染症は不安な存在だ。
はしかワクチンは、2回接種を受けることでより確実な効果が得られることが分かっている。国立感染症研究所の調査によると、現在感染が目立っているのは、はしかワクチンの2回接種が制度化されていなかった世代だという。
母子手帳を開いて医師としっかり話し合い、2回接種を確実に受けるなど、正しい感染症予防を行いたい。
図. 母子健康手帳の提示状況と肺炎球菌ワクチンの追加接種実施率
(プレスリリースを基に編集部作成)