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新診断基準によりドライアイが増加

ドライアイの患者は、日本で2,000万人、世界では10億人以上と推測され、つらい症状に悩む人はかなり多い。順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科の村上晶教授らの研究グループは、2016年のドライアイ診断基準の改訂を受け、新旧の診断基準による患者の割合について調査を実施。旧診断基準で「ドライアイ疑い」と診断されていた患者の約80%が、新診断基準では「ドライアイ確定」と診断されたことを明らかにした。詳細は、1月30日発行の「Scientific Reports」(2018;8:1918)に掲載されている。

旧基準で「疑い」の約80%が、新基準では「確定」に

ドライアイになると、眼精疲労や眼の痛み、頭痛が出現したり、視力の低下を自覚したりと、生活の質 (QOL)や業務の生産性が下がることが明らかになっている。原因として、加齢やストレス、デジタル機器の使用時間の増加などが考えられている。現代病の1つとして今後も増加が見込まれるドライアイだが、いまだに確定診断されずに、QOLや生産性が低下したままになっている人も多いのが現状だ。

一方、これまでの研究から、旧診断基準ではドライアイと確定診断されていなかった涙液層破壊時間短縮タイプが、ドライアイの多くを占めることが明らかになってきた。このタイプは、ドライアイの自覚症状はあるが、涙の量などはほぼ正常で、目を開いてから目の表面の涙の膜が破壊されるまでの時間が短い。そのため、ドライアイの定義および診断基準を見直す必要が生じ、2016年の改訂に至ったという。

研究グループは今回、2015年11月からの1年半に順天堂医院眼科外来を受診した250人を対象に、新旧の診断基準の両方でドライアイの診断を行った。

その結果、旧診断基準では、ドライアイ確定38.8%、ドライアイ疑い35.6%、非ドライアイ25.6%であったのに対し、新診断基準では、ドライアイ確定66.8%、非ドライアイ33.2%だった。また、旧診断基準で「ドライアイ疑い」とされた人の79.8%が、新診断基準において「ドライアイ確定」に割り振られた。

これまでドライアイの診断方法は、世界的に統一されていなかった。しかし、2016年に改訂された診断基準は、日本だけでなく、韓国や中国の合意も得られているという。研究グループは「他のアジア諸国でも、この診断基準を導入することが予想される」とし、「そうなればアジアでの臨床研究が可能となり、ドライアイの治療はいっそう進歩するのではないか」と期待を寄せている。

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