カフェインに血管の弾力性を保つ働き
カフェインには高血圧のリスクを下げるなど、血管に良い効果があることが報告されている。スイス・ローザンヌ大学の研究グループは、尿中に排泄されるカフェイン量の測定から、カフェインが動脈硬化に与える影響を検討した。その結果、カフェインを多く摂取している人は、あまり摂取していない人に比べて血管に弾力性があったと、Mayo Clin Proc (3月15日オンライン版)に報告した。
カフェイン排泄量別に分けて検討
この検討に参加したのは、調査期間中にスイスの3都市に住んでいた一般住民から無作為に選んだ家族。24時間分の尿を保存してもらい、その中のカフェインとカフェインが体内で分解されて生じたパラキサンチン、テオフィリン、テオブロミンの量を測定し、4つのグループに分けた。そして、各グループの脈圧(最高血圧と最低血圧の差)、動脈壁の硬さを表す脈波伝播速度(PWV)を測定し、カフェイン摂取量との関連を検討した。
なお、実際に詳しく調べた人は863人で、平均の年齢は47.1歳、脈圧は41.9mmHg、PWVは8.0m /秒であった。
動脈硬化の指標であるPWVが明らかに低下
検討の結果、尿中のカフェイン排泄量が最も少ないグループに比べて最も多いグループでは、脈圧が明らかに低かった(43.5mmHg vs. 40.5mmHg、P<0.001)。また脈圧は、尿中のカフェイン排泄量が多いほど低かった。 さらに、尿中のカフェイン排泄量が最も少なかったグループに比べて、最も多かったグループのPWVは、明らかに低い(血管壁が軟らかい)ことが分かった(8.1m/秒vs. 7.8m/秒、P=0.03)。 カフェインが分解されて生じるパラキサンチンとテオフィリンについても、尿中への排泄量が最も多いグループでPWVが明らかに低かった。
カフェインには血圧を下げる効果があると報告されているが、研究グループは「今回得られたカフェインの血管を保護する効果は、血圧を下げる以上のメリットと考えられる」としている。