ICUでセラピー犬が活躍

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救急医学の進歩により、重篤な患者も生存できるケースが増加している。その一方で、集中治療室(ICU)の入室患者はトラウマとなるような出来事のせいで混乱、不安、不眠、痛みや孤独などを経験することが多い。米国ジョンズ・ホプキンズ大学の研究グループは「訓練を受けたセラピー犬の利用は、ICU患者の身体的、精神的な苦痛を問題なく大幅に軽減できた」とCrit Care(2018; 22: 22)に発表した。


薬剤を使わない介入法の探索

院内にセラピー犬を導入し、患者と交流させることは、軽症の入院患者に対する薬剤を使わない介入法として長く親しまれてきた。研究グループは、ICUにセラピー犬を導入し、重症患者に対する新たな介入法として用いている。
研究グループは「患者の心理状態の改善には、多くの場合、薬剤が用いられる。しかし実際には、薬剤使用を極力減らし、音楽療法やリラクセーショントレーニング、動物介在療法などの介入法を導入することの方が、患者の心理状態を改善させる助けとなる」と述べている。
ICU患者は、"非人間的"とも思われる人工呼吸器、栄養チューブやその他の機器につながれていることが多い。その上、鎮静薬を投与されたり、ベッドの上で動きが制限されていることもあり、筋力低下、思考の混乱、抑うつ、不安、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などを生じやすい。今回の研究では、ICU患者の80%以上にせん妄(不注意、失見当識、精神錯乱、幻覚など)が見られた。一方、より活動的で薬の量が少ない患者では、それらの発現リスクが低下するというエビデンスも示された。


犬の訪問+リハビリのケースも

ICUを人間的な空間にするための方法を探索している研究グループは、リハビリテーション(以下、リハビリ)科において動物介在療法の成功例を目の当たりにした。参加した患者が、動物との触れ合いによってより早くリハビリのゴールに到達することができた(犬をなでている間は立っていられるなど)。
ICU患者においても同じような結果が得られると推測し、セラピー犬による訪問を行った。患者は、覚きた状態で犬とともに静かに過ごすよう注意し、また感染症リスクが低く、患者自身が犬の訪問に興味を持っている必要がある。同大学病院の一般的なICU滞在期間は数日だが、2017年には10人(20〜80歳代)がICU滞在中に1回(20〜30分)以上、セラピー犬の訪問を受けた。犬の訪問とリハビリを組み合わせて、動物介在療法において理学療法士や作業療法士が介入したケースもあった。


膝の上の犬が苦痛を和らげる

ICU患者へのセラピー犬の訪問は、患者がより活動的になろうとするモチベーションを高める。今回の研究では、膝の位置にセラピー犬がいることで患者の苦痛が軽減しており、医学的介入では実現できない治療効果を発揮しうることが示唆された。
しかし、動物介在療法などを用いた"人間的な"ICUの構築にはさらなる研究が必要だという。研究グループは将来的に、セラピー動物の訪問がICU患者に及ぼす影響(痛み、呼吸数、気分など)について、より詳細な評価を予定しているという。


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