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ヘルパーT細胞がお願い HTLV-1を知って・細胞擬人化マンガとコラボ

厚生労働省は3月15日、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)に関する理解を広げる目的で、人気マンガ『はたらく細胞』とコラボレーションし、ポスターとリーフレットを配布すると発表した。ヒトのヘルパーT細胞がHTLV-1に感染すると、重篤で難治性の成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)やHTLV-1関連脊髄症(HAM)などを発症することがある。しかしHTLV-1の認知度は低く、厚労省は『はたらく細胞』を起用してHTLV-1に対する正しい知識の普及を呼びかけている。


難治性疾患であるATL、HAMの原因ウイルス

HTLV-1はヒトのヘルパーT細胞に感染するレトロウイルスの一種であり、感染したT細胞ががん化するATL、脊髄に慢性の炎症を来して歩行障害や排尿・排便障害が進行するHAM、眼の中のぶどう膜に炎症が起こるHTLV-1関連ぶどう膜炎(HU)といったHTLV-1関連疾患の要因となる。特にATLとHAMは重症で難治性の疾患だが、HTLV-1感染者の多くは生涯にわたって発症しないため、疾患自体が十分知られていないという問題がある。HTLV-1関連疾患の診断には抗体検査が必要だが、医療従事者においてもHTLV-1の認知度は低く、診断が遅れることが少なくない。


日本における感染者は約82万人

日本におけるHTLV-1の推計感染者は約82万人※1。九州・四国・沖縄をはじめ西日本に多いとされているが、東京や大阪、名古屋などの大都市圏でも増加傾向にあり、全国的に感染が拡大しているとみられる。主な感染経路は母乳を介した母子感染、性行為や輸血による感染だが、そのうち輸血感染については、抗HTLV-1抗体検査でほぼ阻止されている。しかし、さらなる感染者を増やさないためには、幅広い層に向けてHTLV-1に関する認知を広め、感染を予防して次世代にHTLV-1を伝播させない取り組みが必要となる。
『はたらく細胞』は細胞を擬人化し、免疫系を中心とした体内機構を分かりやすく描いた人気漫画マンガだ。累計発行部数は150万部を突破し、今年7月にテレビアニメ化が決定している。今回の企画では、『はたらく細胞』のキャラクターの1人である"ヘルパーT細胞"がHTLV-1の周知を呼びかけている。ポスターとリーフレットは全国の自治体・保健所などに配布され、厚労省ウェブサイト「HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)に関する情報」※2 からPDFデータがダウンロードできる。同サイトでは、その他にもHTLV-1に関するコンテンツを用意しており、HTLV-1の啓発に取り組んでいる。


※1 2016年 第10回HTLV-1対策推進協議会資料(HTLV-1疫学研究及び検査法の標準化に関する研究)
※2 「HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)に関する情報」

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