がんのみを狙って診断~新たな前立腺検査~

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排尿や性機能に深く関与する臓器である前立腺。そのがんである前立腺がんは、PSA(前立腺特異抗原)検査の普及もあって、近年、増加傾向にある。精液に血液が混じる、尿が細くなるなどの症状が現れるが、早期には症状が出ないことも多く発見は難しい。また、前立腺ではがんを肉眼で観察できず、その内部にがんが多発する臓器である。
東海大学医学部付属八王子病院のプレスセミナーでは、前立腺内部の3次元的がんの局在(部分)診断について、同院泌尿器科准教授の小路直(すなお)氏が解説した。


従来の検査ではがん見逃しリスクも

前立腺がんの早期発見のためには、血液検査であるPSA検査が行われている。その値が高値(4.0ng/mL以上)と評価されると、前立腺針生検(生体検査)が実施される。
現在、一般的な前立腺針生検は、肛門からプローブ(超音波を発する器具)を入れ、前立腺内部を超音波画像で探索しつつ、自動生検装置を用いて前立腺に針を刺して組織を採取する(図1)。その組織を顕微鏡で観察して、がんの有無や悪性度を診断する。


図1. 前立腺針生検

ただし、この生検は、前立腺全体に均等に針を刺すため、前立腺のどこにがんがあるかについての局在(部分)診断ができない。また、出血や感染症のリスクがあるほか、がんがある程度大きくないと超音波画像では内部の構造が見えにくく、がんを見逃すリスクもあるという。


画像診断技術を応用した新しい生検

そこで同院では、生検前にMRI(核磁気共鳴画像)検査を実施し、MRI画像を画像処理技術により超音波画像と組み合わせた融合画像を作成し、これを見ながら前立腺生検を行っている(図2)。従来の超音波画像のみの前立腺生検に比べて、MRIによって3次元的にがんが疑われる部位を特定することができる。


図2. 画像診断技術を応用した新生検

小路氏によれば、術者は3次元的な奥行きがある画像を見ながら、がんの疑いのある部位を狙って針を刺すことができるという。また、患者さんに「あなたのがんは、こういう形でここに存在していますよ」と、より具体的に説明することができると語る。
この新しい診断法は2017年、厚生労働省から先進医療※の承認を得て同院で実施されている。がんの早期発見や確実な診断、治療方針の決定に有用であり、今後に大きな期待が寄せられている。

※先進医療とは、特定の大学病院などで実施されている医療技術のうち、厚生労働省から承認された医療行為をいう。医療技術ごとに施設基準があり、それに該当し認定された医療機関での治療のみが先進医療として扱われる。

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