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三世代の健康状態を調べて病気を予防 被災地住民の家族健康調査

東北大学東北メディカル・メガバンク機構は、宮城県内および岩手県の一部地域に住んでいる妊婦とその家族を対象とした家族調査を行っている。この調査は、子供、両親、祖父母の三世代の健康状況や生活習慣を追跡する世界で初めての三世代コホート調査と呼ばれるもの。同機構は、研究の登録目標数を上回る7万3,085人の住民が登録されたと、2月1日に公式サイトで発表した。この種類の研究規模としても世界最大となった。


環境や遺伝的な要素から家族の健康状態を詳しく調査

 三世代コホート調査は、赤ちゃんが母親のお腹にいるときからの子供とその両親、祖父母の三世代の家族集団を一定期間追跡する長期の健康調査である。調査に登録したのは、宮城県と岩手県の一部地域に住む妊婦とその家族7万3,085人()。生活環境や遺伝的な要素を集めて、両親の生活習慣と遺伝のどちらが子供の疾患により強く関連するのかなどを今後、解き明かしていく。

図. 登録家族の内訳

(東北大学東北メディカル・メガバンク機構プレスリリース)


 家族調査研究によって、胎児期の環境と生まれてから起こる病気との関係が明らかになれば、妊娠中の母親や家族の生活習慣を改善し、病気の予防に役立てることができる。

 例えば、妊娠中の喫煙習慣と生まれてくる子供の低体重は関連することが既に分かっている。しかし喫煙中の妊婦で、子供への影響がより強く出るのはどのようなタイプの人なのかはまだ明らかになっていない。それが分かると、当てはまる妊婦に生活習慣の改善を積極的に勧めることができる。飲酒や栄養摂取についても同じことがいえるという。


ストレスは喫煙に影響する?

 同機構は同日、初期調査の結果の一部を発表した。2013~16年度における妊婦2万2,493人のうち、妊娠初期(妊娠4週~15週)と出産後にアンケート、血液検査に協力した2万1,373人について、東日本大震災の被害状況と健康状態を調べた。

 そのうち自宅の被害状況が確認できた妊婦は4,305人。自宅が損壊した妊婦の夫またはパートナーは、自宅が損壊しなかった妊婦の夫またはパートナーに比べて、現在も喫煙している割合が高かった。また、妊婦自身については喫煙する割合がやや高かった。

 同機構は、ストレスによって禁煙しない人の割合が相対的に増えている可能性があるとしており、今後、肥満、栄養摂取状況、スギ花粉症発症率、ヘリコバクター・ピロリ陽性率なども含めて詳しく調べていく。

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