血圧の上下差、拡大は危険
健康診断で必ず測る血圧。測定前はちょっとドキドキするという人も少なくないだろう。血圧が高めな人なら、なおさら自分の血圧の上がり下がりは気になるはず。この度、ギリシャなどの国際研究グループが、血圧と死亡リスクに関する研究結果を発表した。長期的に見ると、平均血圧が上がることより、最高血圧(収縮期血圧)と最低血圧(拡張期血圧)の差(脈圧)が開くことの方が将来の死亡リスクを高めるという。詳細は、11月1日発行の医学誌「American Journal of Hypertension」(2017;30:1093-1099)に掲載されている。
脈圧上昇で死亡リスクが不変の2倍に
血圧を測ると、最高血圧と最低血圧が出てくる。「脈圧」というのは最高血圧と最低血圧の差で、心臓が血液を送り出すときに生まれる圧力を表している。一方の「平均血圧」は、最低血圧+(脈圧÷3)で算出するもので、平均して血管にかかっている圧力を示すものだ。
今回、研究グループは、血圧が正常な16~95歳の男女7万1,629人を対象に2度の血圧測定を実施。1度目は1992年。そこから平均5.8年の期間を空けて、2度目の血圧測定を実施した。
算出した平均血圧と脈圧をそれぞれ上昇、低下、不変に分類し、死亡リスクとの関連を分析。6.9年間(中央値)の追跡期間中に、2,033人が死亡した。
その結果、脈圧が上昇したグループでは、不変グループに比べ、死亡リスクが約2倍になった。それに対して、平均血圧が上昇したグループでは、不変グループと比べ死亡リスクの上昇は1.68倍にとどまった。
脈圧が低下したグループでは、不変グループに比べ死亡リスクが約15%下がっていた。一方の平均血圧が低下したグループでは、不変グループと比較して死亡リスクの明らかな変化は見られなかった。
研究グループは、今回の結果について「脈圧、平均血圧の変化は、ともに死亡率に影響を及ぼした」とコメント。さらに「血圧が正常な男女においても、脈圧や平均血圧の長期的変化を捉える意義は大きい」と今回の研究を評価した。