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SNS利用がメンタルヘルスに及ぼす影響は?

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東京都健康長寿医療センター研究所研究員の桜井良太氏と研究部長の藤原佳典氏らは、SNSの利用状況とメンタルヘルスとの関連を検討、結果をPLoS One(2021; 16: e0246090)に発表した。

LINEやInstagramは良好な関連

これまでの研究では、他者との交流がヒトの健康維持に極めて重要であることが示されていたが、交流がSNSなどのオンライン上の場合は有効性が明らかでなかった。

そこで桜井氏らは、東京都内でランダム抽出した2万1,300人に郵送で住民調査を実施。SNS(LINE、Facebook、Twitter、Instagram)の利用を「発信」と「閲覧」に分け、それぞれ「週に数回以上利用する」と回答した者を定期利用者とし、精神的健康との関連を検討した。

SNSの使用頻度と精神的な健康状態については①精神的な満足感・幸福感(ウェルビーイング、WHO-5精神的健康状態表で評価)②悩み・抑うつ傾向〔6項目のケスラー心理的尺度(K6)で評価〕③孤立感―の3項目で関連を調査した。

8,576人(18~39歳:2,543人、40~64歳:3,048人、65歳以上:2,985人)から回答を得た。検討の結果、6割の高齢者がSNSを利用できる機器を保有しており(主にスマートフォン)、全年代において最も定期利用者が多いSNSはLINEであった(図1)

図1. 年代別に見たSNSの定期利用率

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ウェルビーイングと関連していたのは、18~39歳ではInstagramの定期閲覧〔調整後オッズ比(aOR)0.89、95%CI 0.43~1.36、P<0.001〕、40~64歳ではFacebookの定期発信(同1.00、0.15~1.84、P<0.005)、65歳以上ではLINEの定期発信・閲覧の両方(発信:同0.85、0.41~1.29、P<0.001、閲覧:同0.97、0.51~1.42、P<0.001)であった。

また全ての年代でLINEの定期利用例は、非定期利用例に比べてウェルビーイング(WHO-5得点)が高かった(図2)。

図2. LINE利用の有無別に見た精神的健康度

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Twitterとは負の関連

悩み・抑うつ傾向の低さとの関連が認められたのは、18~39歳ではInstagramの定期閲覧(aOR-0.88、95%CI-1.30~-0.45、P<0.001)、40~64歳ではLINEの定期発信例(同-0.52、-0.87~-0.16、P<0.001)だった。その一方で、両年代ともTwitterの定期発信・閲覧利用例と悩み・抑うつ傾向に有意な関連が示された(18~39歳Twitter発信:aOR0.83、95%CI 0.34~1.32、P<0.001、18~39歳Twitter閲覧:同0.72、0.33~1.12、P<0.001、40~64歳Twitter発信:同0.98、0.15~1.80、P<0.005、40~64歳Twitter閲覧:同0.75、0.34~1.17、P<0.001)。

孤立感を感じる割合が高くなる傾向が認められたのは、40~64歳のTwitterの定期発信・閲覧利用例(発信:aOR2.22、95%CI 1.35~3.65、P<0.005、閲覧:同1.70、1.28~2.25、P<0.001)および65歳以上でTwitterを定期発信している例であった(同14.3、4.00~51.2、P<0.001)。

また全年代においてTwitterの定期利用例は、非定期利用例に比べ孤立感を抱いている割合が高かった(図3)。

図3. Twitter利用の有無別に見た精神的健康度

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(図1~3とも東京都健康長寿医療センタープレスリリースを基に編集部作成)

対面での会話や電話などSNS以外のコミュニケーションが少ない例は、全世代を通じて、全ての精神的健康度の指標が低い傾向が認められた。

桜井氏らは「今回の検討結果は解釈に注意が必要である。高齢者層のSNS利用率の低さなど、世代間のSNS利用率のばらつきや利用目的を含め、引き続き検討する必要がある」とした上で、「この結果はLINEやFacebookなど主に現実でも交流のある人とつながるSNSや、ポジティブなイメージのやりとりが生じるInstagramのようなSNSであれば、メンタルヘルスの維持に役立つ可能性を示唆している。一方、匿名性と自由度が高いTwitterのようなSNSは、負の影響を及ぼす可能性がある。対面での会話や電話の頻度は全世代を通じてウェルビーイングに関連していたことから、バランスの取れたSNS利用が必要だといえる」との見解を示している。

(編集部)

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