コロナによる嗅覚障害の解明へ新知見

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新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染による嗅覚障害の病態解明に寄与する新知見が示された。東京大学大学院耳鼻咽喉科学・頭頸部外科学教授の山岨達也氏らは、ゴールデンハムスターを用い新型コロナウイルス感染症(COVID-19)モデルを確立。同モデルを用いた実験によりSARS-CoV-2感染による嗅上皮傷害の特徴などを解明したと、ACS Chem Neurosci(2021年2月1日オンライン版)に報告した。

ウイルス曝露量にかかわらず嗅上皮に傷害が発生

嗅上皮には嗅覚受容体が存在し、嗅覚の機能に重要な役割を果たしている。

今回の研究では、ゴールデンハムスターからCOVID-19と酷似したモデルを確立し、さまざまなウイルス量で感染実験を実施。その結果、ウイルスの曝露量にかかわらず、感染が成立すると感染後早期に広範囲にわたり嗅上皮の脱落が生じていた。

また、嗅上皮の大部分は感染後21日時点で正常の厚さに回復したが、背側鼻甲介、外側鼻甲介の嗅上皮では傷害が残存していた。

さらに、SARS-CoV-2感染後の嗅上皮では、部位によって傷害の程度や再生速度が異なっていることも明らかになった()。

図. SARS-CoV-2感染後の嗅上皮傷害(嗅上皮の厚さ)の程度

嗅上皮厚グラフ.JPG

(東京大学プレスリリース)

これらの知見について、山岨氏は「COVID-19モデル動物のさらなる解析や、嗅覚障害の病態解明および治療法の開発に寄与する成果だ」と強調。「今後は、モデルの妥当性を確認してヒトで見られるような嗅覚障害を呈しているか調べる必要がある。加えて、SARS-CoV-2感染後21日で正常の厚さとなった嗅上皮の形態や機能が正常化しているのか、菲薄の残存部位における傷害が永続的なものであるのかなども究明しなければならない」と指摘している。

(陶山慎晃)

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