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マスク素材20種類の性能を検証

camera_alt Shutterstock_Maridavさん

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大が続く中、マスクの供給不足からさまざまな素材を使った手づくりのマスクを利用する人が増えた。英・University of CambridgeのEugenia O'Kelly氏らはTシャツや靴下、ジーンズなどの衣料品から掃除機の紙パックまで、手づくりマスクに使用されている20種類の素材について、超微粒子の捕集効率を検証。「ほとんどの素材が超微粒子の捕集にある程度は有用であることが示された」とする結果をBMJ Open(2020; 10: e039424)に発表した。

掃除機用紙パックの捕集効率、N95を上回る

O'Kelly氏らは今回、筒状の試験装置を用い、咳をしたときと同程度の速度で0.02~0.1μmの粒子が飛び散った場合の各種素材の捕集効率を調べた。その結果、ほとんどの素材がある程度は超微粒子の捕集に有効であることが示され、中でもリユース可能な掃除機用紙パックに使用されているHEPAフィルター素材の捕集効率はN95マスクを上回っていた。また、ウインドブレーカーやデニムの素材も捕集効率が優れていたが、着用時の息苦しさが極めて強かった()。

図. 素材別の捕集効率(エラーバーは95%CI)

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BMJ Open 2020; 10: e039424)

さらに、超微粒子の捕集効率は布が単層(平均35%)の場合よりも2層以上重ねた方が高く(同45%)、特に襟の型崩れ防止などに使用される接着芯を重ねた場合に大幅に高まることが示された。ただ、こうした手づくりマスクもN95マスクと比べると着用時に強い息苦しさを感じることが分かった。

安全性については不明

O'Kelly氏らは「COVID-19のパンデミックが続く中、多くの地域でN95マスクが人々に行き渡らない状況となった。今回の研究の結果は、一般的な布を重ねてつくったマスクが超微粒子の捕集に有用であり、市販のマスクが入手不可能な状況下で使用者をある程度は守ることができる可能性が示された」と結論している。

ただし、今回の試験で極めて高い超微粒子の捕集効率を示したHEPAフィルター素材に関しては、「安全性が不明」と同氏らは説明。また、今後の研究で安全性と実際のウイルスの捕集効率が明らかになるまでは、素材にかかわらず手づくりマスクの使用は「認可された呼吸保護具を入手できない場合に限定すべき」との見解を示している。

(岬りり子)

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