コロナ下でのオンライン面会、導入に課題
新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、現在も多くの医療機関や高齢者施設で面会が制限されており、その代替策として電子機器などを用いたオンライン面会が注目されている。保険金請求代行事業などを行う一般財団法人あなたの医療では、医療機関253施設を対象に面会(オンライン面会含む)の現状について調査を実施。その結果を同社ウェブサイトで報告した。調査結果からは、マンパワーや準備時間の不足からオンライン面会の導入に踏み切れない医療機関が一定数存在することが明らかになった。
「現在も面会停止」は7割、「オンライン面会の未実施」は8割超
調査は2020年8月4日~28日、神奈川県内の医療機関253施設を対象に、電話やファクシミリ、メールを使用した問い合わせ形式で実施。調査期間後に寄せられた回答も集計結果に含めた。医療機関の属性は図1の通り。
図1. 調査対象の属性
調査の結果、現在も面会を停止している施設は72%に上る一方、オンライン面会を実施している施設は16%にとどまっていた。オンライン面会を実施していない施設(84%)のうち、今後導入する予定があると回答したのは7%だった。
オンライン面会実施施設に対しその内容を問うと、面会可能時間は13~16時以外との回答が78%で、「予約が必要」とした回答が95%となり、予約制で午前中ないし夕方以降に多く行われている実態が明らかになった。
またオンライン面会に使用するツールについては、Zoom(27%)とLINE(22%)で約半数を占めたが、その他も29%に上り、多様なツールが使用されていた。使用デバイスはタブレット(44%)とiPhoneなど(34%)が大半を占めた。
ノウハウの不足やセキュリティへの懸念も導入の障壁に
オンライン面会の実施に伴う課題(実施41施設が回答)としては、「予約が多い」(21%)、「人員が割かれる」(9%)などが挙げられた。
他方、オンライン面会を導入しない理由(非実施41施設が回答)は「スタッフ不足」、「(準備のための)時間がない」の順に多かったが、「取り入れ方が分からない」、「セキュリティの観点」との回答も一定数見られた(図2)。
図2. オンライン面会の実施に伴う課題(左)と導入しない理由(右)
(図1、2とも一般財団法人あなたの医療プレスリリースより引用)
新型コロナウイルス感染症の蔓延を受け、医療機関での面会にもデジタル化の波が押し寄せているが、今回の調査結果からは円滑かつ適切なオンライン面会を実現するには、まだ解決すべき課題が多く残されていることが示唆された。
(陶山慎晃)