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インフルワクチンの副反応疑い報告をまとめ

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厚生労働省は、2019年10月1日~20年4月30日(以下、2019年シーズン)に報告されたインフルエンザワクチン接種後の副反応疑い報告の状況をまとめ、今月(2020年10月)、公式サイトに発表した。2019年シーズンにおいて、ワクチン接種との因果関係が否定できないギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が報告された。しかし、その他の症例も含め「ワクチンの安全性に新たな懸念は認められない」と結論。添付文書の改訂は行わず、動向を注視していくとしている。

ワクチン接種後の死亡は6例、因果関係は不明または否定的

2019年シーズンにおけるインフルエンザワクチン接種後の副反応疑いについて、医療機関からの報告は278例(男性118例、重篤93例、死亡5例)、製造販売企業による報告は重篤例が55例(男性25例、死亡1例)であった。

いずれも0~9歳から80歳代以上の全ての年齢層で重篤例が報告され(製造販売企業報告の不明3例を除く)、医療機関が報告した死亡例の内訳は0~9歳、10~19歳、80歳代以上が各1例で、70~79歳代が2例だった。一方、製造販売企業からの死亡報告は80歳代以上の1例のみ。

今回報告されたワクチン接種後に死亡した6例について、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会および薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会は、4例については接種との因果関係が不明で、2例について因果関係は否定的と結論している。

アナフィラキシーが8例、うち重篤は6例

胃腸障害、感染症および寄生虫症、肝胆道系障害といった副反応疑いの症状について、器官別大分類別に見たところ、2018年シーズン(2018年10月1日~19年9月30日)の報告内容と比べ大きな変化はなかった。

ギラン・バレー症候群およびADEMの疑いは10例報告され、専門家が評価した結果、インフルエンザワクチン接種との因果関係が否定できないと判断されたのはギラン・バレー症候群が1例、ADEMが4例だった。

またアナフィラキシーの疑いが報告された22例のうち、ブライトン分類評価でアナフィラキシーと評価されたのは8例で、うち重篤は6例だった。しかし、アナフィラキシーの発現が製造販売企業の特定のロットに集中している傾向は見られなかった。

その他の報告も含め、2019年シーズンのインフルエンザワクチンの安全性に新たな懸念は認められないと評価され、現時点では添付文書の改訂は行わないとした。なお、報告状況および報告内容は継続して注視することとしている。

(田上玲子)

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