スマホ依存の関連因子を探る

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世界で20億人以上が所有しているとされるスマートフォン(スマホ)。利便性が高く医療現場での活用も進められる一方、心身への悪影響が指摘されていることも事実だ(関連記事「ギャンブルやゲームへの依存の実態は?」)。タイ・Chiang Mai University, Research Institute for Health SciencesのArunrat Tangmunkongvorakul氏らは、同国と日本の高校生を対象にスマホ依存の関連因子について比較検討し、結果をPLoS One(e0238459)に報告した。

スマホ所有率は両国とも95%以上

これまでの知見として、若年者層におけるスマホ依存についてはうつ病、不安障害、孤独感、内向的性格、精神的充足感の低さ、自尊心の低さ、飲酒・喫煙などの物質依存、睡眠の質の低さなどさまざまな関連因子が明らかにされている。

一方、スマホ使用に関しては経済環境や文化的背景が潜在的に影響を及ぼしていると考えられるが、それらの異なる背景を持つ複数の国におけるスマホ依存について比較検討した報告はないことなどから、Tangmunkongvorakul氏らはタイと日本の高校生を対象にその実態を探るとともに、関連因子を検討した。

日本の小中高生を対象に子どもの真の幸福を考える「ウィッシュ(Well-being of Youth in Social Happiness;WYSH)」プロジェクトが2014年に行った調査から、高校生の男女(16〜17歳)のデータ6,585件を抽出。同様にタイで2016年に行われたWYSH研究での調査から、同年齢の高校生の男女1,109件を抽出した。

それぞれの背景については、女子は日本が50.5%、タイが55.9%、スマホ所有率は95.0%、97.5%、ソーシャルメディア使用率は97.5%、99.6%、1日当たりのスマホ使用時間は2〜4時間が最多で55.7%、42.4%であった。

スマホ依存はタイが2.7倍、男子より女子で高リスク

インターネット依存のスクリーニングに用いられるYoung Diagnostic Questionnaire for Internet Addictionをスマホ用に修正し、スマホ依存について調査した。具体的な質問内容は、「スマホを使用することばかり考えている」「満足感を得るためにスマホ使用時間が長くなる」「スマホ使用時間を減らすまたはなくす努力をしたが、無理だった」「スマホ使用により対人関係に問題が生じたことがある」「問題や感情から逃げるためにスマホを使用したことがある」など8項目。

その結果、スマホ依存と断定(「はい」が5項目以上)されたのは、日本は12.0%、タイは35.9%と、日本に比べタイの高校生でスマホ依存者が有意に多かった(P<0.001)。多変量解析を行ったところ、日本に比べタイの高校生ではスマホ依存が2.7倍有意に多いことが分かった〔調整オッズ比(aOR)2.79、95%CI 2.37〜3.30、P<0.001〕。

スマホ依存の関連因子について解析した結果、男子に比べ女子が有意な因子として抽出された(日本:aOR 1.63、95%CI 1.35〜1.97、P<0.001、タイ:同1.34、1.01〜1.78、P<0.05)。

保護者とのつながりを活用した対策が有効か

ペアレンタルコントロールについては、タイに比べ日本の保護者はフィルタリング機能(日本33.6%、タイ0.8%)や月額セットによる制限(同18.1%、9.6%)を使用していた割合が多かった一方、日本に比べタイの保護者はスマホ使用時間を独自に設定(同5.1%、13.9%)していた。

保護者とのつながりについても調べた。その結果、日本に比べタイの高校生では「毎日一緒に食事を取る」「いつも会話をする」「両親との関係性に満足している」「愛情や思いやりを感じる」などの大半の項目で「はい」と回答する割合が有意に多かった(いずれもP<0.001)。「自分が問題を抱えていたり、楽しそうにしていなかったりするときはいつも保護者が気付く」「自分が何か良いことをしたときは保護者が気付く」に関しては、タイに比べ日本の高校生で肯定の回答が有意に多かった(ともにP<0.001)。

今回の結果から、Tangmunkongvorakul氏は「日本とタイの高校生の比較においてスマホ依存はタイでより多く、両国とも男子に比べ女子で高リスクであることが示唆された」と結論。その上で「スマホ依存対策としては、保護者とのつながりによる保護作用を活用すべき」との見解を示した。

松浦庸夫

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