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初の禁煙治療用アプリが承認

camera_alt Shutterstock_ Kaspars Grinvalds さん

株式会社CureAppは8月21日、禁煙治療補助システム「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」(以下、CureApp SC)が厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表した。CureApp SCは、患者用アプリ、医師用アプリ、ポータブル一酸化炭素(CO)チェッカーの3点で構成され、入力データを基にアプリが個々の患者に応じた治療ガイダンスを提供する。同社は、2020年度中の保険適用と上市を目指すとしている。(関連記事:「オンラインの禁煙診療の効果は対面診療と同等」、「禁煙治療用アプリ、年内に保険適用へ」)

ニコチン依存症の心理的側面に介入

ニコチン依存症は身体的依存と心理的依存の2つの病態があるため、主に禁煙補助薬が用いられる前者の治療と並行して、行動療法などによる後者の治療も行う必要がある。

CureApp SCを用いたニコチン依存症治療では、初診時に医師が治療用アプリを処方。患者はスマートフォンに「処方コード」を入力してログインし、アプリに日々の体調やCO濃度を記録することで医学的エビデンスに基づく治療ガイダンスを受信できる。医師もアプリを通じて日々の患者情報などが入手可能であり、次回の診療に生かすことができる。

禁煙外来を受診した喫煙者584例を対象に、薬物療法+カウンセリングを伴う12週間の標準的な禁煙治療に①治療アプリを併用する介入群②治療プログラムが入っていない対照アプリを併用する群−に分けてCureApp SCの有用性を検証した国内第Ⅲ相臨床試験では、治療開始9〜24週の禁煙継続率は対照群の50.5%に対し、介入群では63.9%と有意に高かった(オッズ比1.73、95%CI 1.24〜2.42、P=0.001、NPJ Digit Med 2020; 3: 35)

ニコチン依存症を適応として承認された治療用アプリは、CureApp SCが世界初。同社では非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、高血圧、アルコール関連障害に対する治療用アプリの開発も進めており、代表取締役社長の佐竹晃太氏は「『アプリで疾患を治療する』という新しい治療法の普及に力を入れるとともに、引き続きニコチン依存症以外のさまざまな疾患の研究開発に邁進したい」とコメントしている。(関連記事:「日本初、高血圧を治すアプリ治験開始」、「アプリで減酒支援、探索的臨床研究へ」)

(平山茂樹)


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