高齢者1,300万人がオンライン診療難民?

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新型コロナウイルス感染症が蔓延する中、各国でオンライン診療の導入が急速に進んでいる。誰もがいつ・どこでも使用でき利便性が大きい半面、機器の操作に不慣れだったり障害があったりする高齢者では、その恩恵を受けられない可能性がある。米・Division of Geriatrics, Department of Medicine, University of CaliforniaのKenneth Lam氏らは、同国でどれくらいの高齢者がオンライン診療の潮流から取り残されているかを評価する横断研究を実施。その数は1,300万人に上ると推定されたことをJAMA Intern Med(2020年8月3日オンライン版)に報告した。

メディケア受給者の調査データを使用

米国では2011年以降毎年、メディケア受給者の健康と加齢に関する全国代表サンプル調査National Health and Aging Trends Studyが行われている。今回Lam氏らは、4,525人(平均年齢79.6±6.9歳、男性43%)が対象となった2018年のデータを解析し、障害や機器に対する不慣れさのためにオンライン診療の利用が困難な高齢者の割合を調べた。

オンライン診療の様式としてビデオ診療、電話診療を想定し、①補聴器を用いても音声通話が困難②話すこと、または自分の意向を伝えることが困難③認知症の可能性がある④眼鏡を用いてもテレビを見たり新聞を読んだりすることが困難⑤インターネット接続機器を持っていない、またはその使い方を知らない⑥直近1カ月間にメールやインターネットの使用歴がない―のいずれかに該当する者をオンライン診療困難者と定義。これに、子どもや地域の支援者によるサポートの有無を加味して検討を行い、全米における概数を推計した。

670万人は電話診療さえ困難

その結果、全米における65歳以上の高齢者のうち、ビデオ診療困難者は1,300万人(38%)存在すると推定された。子どもや地域の支援者によるサポートが得られる場合でも、ビデオ診療困難者は1,080万人(32%)に上ると考えられた。電話診療はビデオ診療に比べ敷居が低いイメージがあるものの、難聴や認知症などの理由で670万人(20%)がそれすら困難な状況にあると推察された。

多変量ロジスティック回帰分析を行ったところ、オンライン診療困難者はより高齢の者、男性、未婚者、黒人またはヒスパニック系、非大都市部在住者、教育レベルの低い者、低収入者、主観的健康度が低い者で多いことが明らかになった。

訪問診療が不可欠な高齢者の存在も認識すべき

Lam氏らは「今回の研究から、収入が低い高齢者ほどオンライン診療の利用が困難な現状が示された。米メディケア・メディケイドサービスセンターはオンライン診療に対し保険償還を行っているが、オンライン診療が普遍的になれば、それに必要な機器にも保険が適用されるべきだろう。さらに、聴覚障害者のための字幕表示など、バリアフリーの考え方をオンライン診療でも広める必要がある」と指摘している。

さらに、「多くの高齢者はオンライン診療の利用方法を学ぶ気があるが(Telemed J E Health 2013;19: 786-790)、認知症や社会的に孤立しているために、クリニックでの対面診療もオンライン診療も難しい人がいる。こうした高齢者には訪問診療が不可欠であろう」との見解を示している。

(長谷部弥生)

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