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リーダーズにオススメ、ハワイ・ホノルルの旬な店4軒

Maitai Bar

オアフ島・ワイキキに滞在するなら、必ずといっていいほど訪れるのがアラモアナ・ショッピングセンター(以下アラモアナSC)である。日本人にはなじみの薄い、「モール」と呼ばれるショッピング施設。広大な敷地の中に超高級ブランドからお土産雑貨までがひしめくも、ゆったりとした時間の流れに身を任せて楽しく買い物ができる。すでに8%となってしまった日本の消費税に比べ、ハワイ州は5%弱と、それがまた魅力だ。個人的には現在(2017年夏)のレート、1ドル110円程度では、70円台も体験したぼくにはあまり割安感はないのだが・・・。

家族でハワイを訪れアラモアナSCに行くと、確実に世のオトウサンは置き去りにされ時間を持て余す。奥さんや子供たちが買い物にいそしむ時間、はたしてアラモアナSC内にそんな男性が一人で快適に過ごす場所があるのだろうか。

それを解決するのが「Maitai Ber(マイタイバー)」だ。
アラモアナSCの4階、基本レストランエリアでいくつかアメリカンやジャパニーズの店舗があり日本人観光客の姿も見える。ところがフロアの真ん中にある「マイタイバー」のみ、日本人観光客の存在しないローカルの聖地(ローカルとはハワイで暮らす人たち。ちなみにそんな人たちのことを雑誌やテレビでロコというが、ロコはハワイ語ではなくローカルのネイティブな発音がロコと聞こえることに由来するらしい)。

ひとたびバーのカウンターに腰掛けると、ビルの間を吹き抜けるハワイの風の心地よさに癒され、時折り入るハワイアンバンドの音に身をゆだね、アメリカの生ビールをグイッとやる。注文さえできれは、それ以上の英語力も不要だ。パートナーが買い物にいそしんでいる間、ひとときの自分の時間を創るのには最高の空間である(バーといいつつ、もちろん昼間からオープンしている)。もっといえば、接客するハワイアン女性の魅力的なこと。はちきれんばかりの健康的な美しさを眺めているだけでも訪れる価値がある。ただし、たっぷりとチップをせびられることもあるのでご注意のほど。

※なお同名の「マイタイバー」が、ワイキキのロイヤルハワイアンホテルにもあります。こちらもビーチサイドの心地よい高級バーです。

1450 Ala Moana Boulevard Honolulu
808‐947‐2900

楽食酒家 坊’s

和食が恋しくなったら、とか、そんな言葉が未だにガイドブックのタイトルとなって、ものすごくたくさんあるハワイの和食店を様々な切り口で紹介している。当然だが、たいていは日本の方がおいしいし、たった数日で和食が恋しくなるほど今の日本人は和食ばかり食べているわけではない。

と、そうはいいつつ、そもそもハワイの王様は自分の娘を日本のエンペラーに嫁がせようとしたとの記述もあるぐらい親日的で、古くから日本の移民がハワイの食文化にも多大な影響を与えてきた。そんな観点から、ハワイで和食の独自な醸成を探求するのは興味深い。その延長線上にあると色濃く感じる店が「楽食酒家 坊’s」なのだ。

ここは、ローカルの利用率が高く安価でおいしいレストランが集結するマッカリー・ショッピングセンター内にある。中国料理、ラーメン、カレー、鍋料理など、他にも入ってみたくなる店が山盛りの場所。ワイキキの西側ホテルからは歩けない距離ではなく利便性も高い。

そんなセンター内で「楽食酒家 坊’s」は、少しハイクラスの部類に入るだろうか。日本的に言うと高級居酒屋かな。大きな魅力は、比較的どの店も夜は早々と閉まってしまうハワイにおいてラストオーダーが遅いこと。滞在中はあっという間に時間が経ってしまうので意外と重宝する。

さて、トウキョウはもちろん、香港、ロンドンなど今や世界中の大都市にある和食・寿司店「Nobu」をご存じだろうか。
東京新宿から南米を経てロサンゼルスで「Matsuhisa」を開いたノブ・マツヒサ氏の料理が大変面白いと映画関係者の間で評判を呼び、ロバート・デニーロとニューヨークで新たににオープンしたレストランが「Nobu」のスタートである。「楽食酒家 坊’s」のシェフは元々この「Nobu」ホノルル店に在籍していた。つまり、アメリカ仕込みの和食・寿司店で力量を磨いた実力を持ちつつ、そこにハワイのエッセンスを盛り込んでスタートした居酒屋ということになる。

ハワイには、星の数ほどではないにしても大量の居酒屋がある。たいてい一度は行ってみたが、中でも「坊's Bar」の味は群を抜いている。数あるなか一つだけ料理をオオスメするとすれば「サーモンスキンロール」。カリフォルニアロールに代表されるアメリカ発祥のロールスシの一種で、日本人の発想では生まれない奇想天外な完成度。サケの皮がお嫌いではなければぜひともトライしてほしい。日本人がよく知っている食材の組み合わせながら、ここまでおいしくなるのかと瞠目する。

1960 Kapiolani Blvd, # 209 (McCully Shopping Center) Honolulu
808-955-7779

Sidestreet Inn on da Strip Kapahulu Ave.

小錦や曙といった巨漢のレスラーを生み出すハワイ。
いったい何をどれぐらい食べたら、あんな大きな体になるのかなと考える人も多いはず。

ワイキキではほとんど見かけないが、現地でInnと呼ばれるハワイの定食屋的レストランに入ってメニューを見ると、庶民の店のはずが日本円で千円に迫る価格帯。不安になりつつ注文し、いざその料理対面するなら、日本人の感覚では二人分はある量だ。
Innは、ハワイローカルの人たちに本当に愛されていて、そこに老若男女が普通に集い、一家・仲間同士が自然な形で食事をしている。酒を飲んでいるテーブルもあれば、コーラにスプライトなグループも見かける。

そこで、ワイキキからでも比較的アクセスしやすい、しかもハワイを代表するInnを一軒紹介しよう。「Sidestreet Inn on da Strip Kapahulu Ave.」である。こちらは、元々アラモアナにある超人気店「Sidestreet Inn」が出した姉妹店。であれば本店を紹介しろと言われそうだ。ところが本店は、アプローチしにくい上に辺りが薄暗く狭い路地。不慣れな人には少々不安なエリアにあり、店内はまるで相撲部屋かと思うぐらい巨漢なハワイ男性がひしめき合っていて、楽しめる人にはものすごく面白いが、ちょいハードルの高い雰囲気も持っている。

一方、ワイキキに近いカバフル通り沿いにできた「Sidestreet Inn on da Strip Kapahulu Ave.」は、明るくて広くてきれい。大通り沿いゆえ入りやすい(ただし、入口は見つけにくいが)。ワイキキの東側にホテルを選んだなら、徒歩でも行けない距離ではない。なにより、これがハワイローカルの真髄かと嘆息する、本店と同じ料理の数々に出会えるのである。

メニューは日本人にも身近な冷奴や枝豆から、ハワイ特有のマグロ料理ポキ。そして食パン一斤サイズはある名物の「ポークチョップ」は、想像とは違うオリジナルな火入れとテイスト。並び称される「キムチフライドライス」。こちらも普通に4人前ぐらいの盛りながら意外にも繊細な味付けで、具材のグリンピースや豚肉などは独自に別の仕込みがされている。自分たちが知っている単なるチャーハンと思うと一味も二味も違うのだ。

そして、えー、こんなに食べられないよと感じたら残せばいい。アメリカの習慣で「ドギーパック プリーズ」と言えば、お持ち帰り用にきちんと包んでくれる。元来はペットの餌なる意味だけど、朝食に食べても味が落ちていないことに驚く。

なお、Stripとはもちろんヌードショーのことではなく、大きな街路の意味。そしてDaとは、実はTheのこと。日本人同様、ハワイ人もTHの発音は苦手のようだ。

614 Kapahulu Ave.Honolulu
808-739-3939

Herringbone

2016年夏以降、ワイキキは大きく様変わりした。ごちゃごちゃと、それこそ日本のお祭り屋台のようなエリアが一掃され、いくつかの巨大な商業施設が出来上がった。
80年代後半からハワイに通い始め、渡航回数も50回を超えたぼくにとって、それら施設のコンセプトや姿勢は相当な衝撃だ。旅行社のツアーに乗っかり集団でハワイにやってくる旧来型の日本人観光客は、もはやハワイのターゲットではないと暗に示されたようなショックといえようか。つまり、ワイキキではとりあえず日本語が通じると思っている日本人は、ハワイのトレンドに置いて行かれたのである。

個人的にはある意味喜ばしい進化だと思う。日本人が大量に訪れる観光地ではなくアメリカ合衆国50番目の州なんだとの認識を、やっとワイキキで持つことができたからである。

中でも、2017年8月初頭にオープンした「Herringbone(ヘリンボーン)」は、ここが本当にワイキキかと見まがうほど、広く大きく突き抜けた空間で、何より内装もスタッフもスタイリッシュ。
料理は、従来からハワイで育まれてきた、移民の土地らしいハイブリッド感は残念ながら消え去り、メインランドの西海岸で先端を走っている類の、味がクリアでオイルを多用しないヘルシーなディテール。重ねるが、ハワイというよりアメリカそのものがここにある。そして、ゴハンがまずいまずいと言われ続けたアメリカの驚異的な発展を、その美味しさや先進性の中に感じることができる。

さて、服飾に興味のある方ならヘリンポーンと聞いてピンと来るに違いない。直訳すればニシンの骨、転じて魚を開いたときの骨の形の柄を表現する。店内に入ってすぐに目に飛び込むのが、恐竜のものかと思うぐらい大きな魚骨のオブジェ。店全体を通じて海と魚を具現化している。サンディエゴに本店があると聞くが、そんなコンセプトなら、海に囲まれたハワイこそがアメリカ合衆国の中でも最も合致するに違いない。その意味を知り、感じ、体験として持ち帰ることができたら、最高の食の思い出となるだろう。そんな日本人がどんどん増えてくれればいいなあと願うばかりだ。

もう一つ耳よりな話。建物一階にある日本人向けの案内所ですら把握していなかったが、ここでは16時からハッピーアワーも狙い目だ。オイスターアワーと称し、安価でフレッシュなカキやその他のメニューも十分に楽しめる。何より、様々なシチュエーションで午後のヒトトキを寛ぐアメリカ人のカッコよさを、ワイキキで垣間見ることができる。

2330 Kalakaua Ave, Suite 316 Honolulu
808-797-2435


【プロフィール】
伊藤章良(食随筆家)
料理やレストランに関するエッセイ・レビューを、雑誌・新聞・ウェブ等に執筆。新規店・有名シェフの店ではなく継続をテーマにした著書『東京百年レストラン』はシリーズ三冊を発刊中。2015年から一年間BSフジ「ニッポン百年食堂」で全国の百年以上続く食堂を60軒レポート。番組への反響が大きく、2017年7月1日より再放送開始。