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【第1回 税金とお金とワタシ】パートで働く主婦が配偶者控除で働き負けないために!~2018年から改正された配偶者控除

camera_alt たかはしよしこ。(ハム工房)

■配偶者控除ってどんな制度?

働く主婦と生計を共にする者、双方にとって正しく知っておきたい配偶者控除。
パートで働く主婦の会話の中に「○○円の壁」「○○円を超えちゃダメ」「11月は働けない」などの言葉がしばしば登場します。
その中の「○○円の壁」ですが、その壁はいくつかに、わかれています。

●103万の壁
所得税負担が生じる、扶養家族をはずれるため納税者(夫)が控除を受けられなくなる。
130万の壁
社会保険加入義務が給与所得者(妻)に生じる。

上にあげた収入の壁ですが、2018年の配偶者控除改正で大きく変わりました。
どのように変わったのでしょうか?

壁や控除といってはみるものの、正しく制度を理解している方は少ないと思います。
改正で変わった点と併せて、配偶者控除とはどのような制度なのかをおさらいしてみましょう。

■配偶者控除の改正

配偶者控除とは、納税者が夫である場合、配偶者である妻の給与収入が103万円以下の場合に、納税者である夫の『所得税・住民税』が軽減される税制です。

◇配偶者控除の対象となる条件(一部)
 ・民法の規定による配偶者、生計を共にするもの。
 ・配偶者の給与収入が103万円以下である。

2018年の改正で大きく変わった点は、納税者である夫の給与収入が1,120万円を超える場合に、その年収額に応じて段階的に控除額が減ることです。

改正前は配偶者である妻の給与収入が103万円であれば、夫の給与収入に関係なく満額38万円の控除を受けることができました。

主となる納税者の給与収入の額によって控除額が変わる点が改正前と大きく異なります。




■配偶者特別控除の改正

配偶者の給与収入が103万円を超えても、納税者である夫の『所得税・住民税』は軽減されます。
これを、上記の配偶者控除とは別に「配偶者特別控除」といいます。

2018年の改正で、適用額が配偶者の給与収入は201万円までに拡大されました。
改正前は配偶者の給与収入141万円が適用の上限でした。

◇配偶者控除の対象となる条件(一部)
 ・民法の規定による配偶者、生計を共にするもの。
 ・控除を受ける納税者のその年の給与収入の合計が1,000万円以下である。
 ・納税者以外の扶養親族となっていないこと。
 ・配偶者の所得の合計が123万円以下である。

改正前は配偶者の給与収入が105万円を超えると、受けられる控除の満額38万円から段階的に控除額が減っていましたが、2018年分以降は、配偶者の給与収入150万円を超えると段階的に減ることになります。




■社会保険料の自己負担に注意!

ーーもうひとつ、
配偶者がパートによる給与収入を得る場合に注意しなければならないのが、社会保険料の自己負担です。

2016年10月から、派遣社員(派遣労働者)やパートタイム労働者などの非正規雇用労働者への厚生年金適用基準が拡大されました。

配偶者が会社員であり納税者である夫の扶養となり、社会保険料が免除されている場合でも、配偶者である妻の給与収入が年間130万円を超える見込みである場合、本人の社会保険加入義務が生じる場合があります。

◇以下の基準を満たす場合、厚生年金への加入義務が生じます(一部)
・週20時間以上(週4日~1日6時間程度)
・年収106万円以上(目安として月8万以上)
・勤務期間1年以上(入社後いきなり加入の場合もある)
・従業員501人以上の企業(事業所により異なる)

社会保険料が自己負担になると、パート勤務で得られる1ヶ月の収入7~8万円から1.5~2万円以上の負担が生じます。
ここでさらに納税者の控除も減るとなると、働くことがかえって税金・社会保険料の負担を増やしてしまう場合もあるのです。



筆者も配偶者控除内でのパート勤務の経験があります。
空き時間の活用として、家事や育児の合間に働きに出るパート主婦にとって、働く時間は限られています。
そのような働き方で、100万円以上の所得を得ることは非常に難しいと感じていました。

家事や子育てをこなしながらの「働き負けない」働き方は、なかなか難しいように思います。

それぞれの家庭にあったライフスタイルと働き方、制度の上手な活用で家計をやりくりしましょう。
そのためにも正しい知識を身に着け、働き負けない暮らしを実践していきましょう。



本記事で紹介した内容は制度の一部です。
詳細な情報については、財務省ホームページをご覧ください。

【財務省HP】https://www.mof.go.jp/


【ライター】たかはしよしこ。
デザイン事務所、広告代理店、出版社、新聞社など多岐にわたる業種でクリエイティブ業務を経験。
グラフィックデザイン全般、ライター、イラストレーター、ディレクターなどオールラウンドで活動。
現在、南青山グループでリーダーズオンラインをはじめとする、メディア運営を担当する。



南青山リーダーズ株式会社 編集部



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