海外への適切な留学時期
目次
海外留学の適切な時期
近年、日本の国際化に伴い海外留学がとても身近な存在になっているかと思います。小職も大学時代(今から15年程度前)にオーストラリア留学しておりましたが、その当時と比べてもより多くの日本人が海外留学しているのを実感します。
よく知人や友人等から適切な留学先や留学時期の相談を受けますが、この数年においては特に本人の留学ではなく子どもの海外留学についての質問が増えてきています。よく小職が知人や友人に伝えている内容ですが、適切な留学先や留学時期はその留学の目的によって異なってくると思います。留学の目的については、大きく下記の2つに分類されると考えています。
1. 語学留学(英語の習得を主目的とする留学)
2. 留学先の道徳観念を身につけさせ、国際人になることを目的とする留学(日本人の国際化を目的とする留学)
恐らく留学を検討されている方において、その目的は大半の方は上記1と思います。日本の国際化が進む中、企業に勤めるにしても英語を活かした仕事がしたい等、あくまで日本人として日本社会の中で生活をし、必要に応じて英語を使用することが主目的では無いでしょうか?仮に①が主目的であるとすれば、高校生から大学生くらいが適切な時期かと思います。高校生はまだまだ未熟な部分はあるものの母語としての日本語は既に確立しており、日本人としてのアイデンティティも確立されているものと考えられていますので、英語を流暢に話す日本人になることを目的とするのであれば、決して遅くない時期と考えます。時折、幼稚園や小学生低学年時に母子留学等を行うことを検討される方もいらっしゃいますし、実際に小職の子供が通うシンガポールのインターナショナルスクールにも多くの日本人が在籍しています。ただし、多くの小学生低学年や幼稚園児が抱える問題としては、日本語が母語として確立していないことが挙げられます。シンガポールのインターナショナル校は国の公用語の観点から主に英語で授業が行われますが、中国語の勉強も行われます。例外的に第二外国語として日本語を取り入れているインターナショナル校も存在しますが、殆ど全てのインターナショナル校においては日本語の勉強は一切ありません。そうした環境下で日本語が母語として確立していない子どもが数年在籍していると、英語が日本語より得意になってしまい、日本語がどうしても弱くなってしまいます。両親の転勤や海外駐在に伴い、小学校低学年以下のお子様を連れてシンガポールに来られる方も多いですが、日本帰国時に日本語が問題となり頭を抱えられている両親の方も少なくはありません。勿論数年で日本に帰国することを条件として駐在されている方のお子様については日本人学校に在籍しているケースも多いですが、インターナショナル校に在籍しているケースについては、英語習得は出来るものの逆に日本語が弱みになってしまうケースが多いように見受けられます。そのため、将来的に日本に帰国することを予定もしくは希望されている方に関しては、あまり早い時期での留学は良く検討されることをお勧めしています。
また、上記2を主目的とされている場合は、将来日本に帰国を予定されていない方も多く、極論ではありますが日本人としてのアイデンティティを確立しなくても良いかと思います。その場合は、海外の文化や環境にも適応するため早ければ早いほど有利になるかと考えます。
将来的に日系企業に勤める場合においても、国際的に活躍している日系企業も増加しており英語は益々求められる環境になることは間違い無いかと思います。ただし、多くの日系企業においても社風は基本的に日本であり、同僚・上司との会話を含め日本語は必要不可欠であり、多くの企業においては英語が流暢であっても日本語に問題のある日本人は苦労しているとよく耳にします。
こうしたことから、海外留学を検討される場合は、その目的をしっかりと考え適切な時期を見極める必要があるものと思います。
【プロフィール】
織田耕平(日本IFP協会シンガポール 代表取締役)
1980年生まれ。大阪府出身。関西大学社会学部社会学科マスコミュニケーション学専攻卒業。
大学在学中に休学をし、オーストラリア メルボルンに留学。日本における短大の学位(経営学)を取得し、大阪本社の製造機器メーカーに就職。海外営業部等により東南アジア・オセアニア地区の開拓・マーケティング等行う。金融・法律の道へ志し、証券会社、航空機リース会社にて国際金融、法務等幅広く経験を積み、父親が経営する行政書士事務所の継承のため帰阪。医療、社会福祉、語学を活かして医療法人、社会福祉法人、入管関係のスペシャリストとして幅広く法律業務に従事。2015年4月に家族とともにシンガポールへ移住。日本IFP協会シンガポールを設立し、法人設立・会計・国際金融(不動産・保険等)等の業務を中心に幅広く活動。