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「リーダーのためのビジネス交渉講座」について

目次

“交渉は、最初にガーンと言ってから落としどころを探し、相手の心理を巧みに突いてYESと言わせたら勝ち”、“交渉に必要なのは経験と人間性であり、理屈はいらない”などと言われることがありますが、本当にそうなのでしょうか。

一発勝負で、同じ相手と二度と交渉しないのであれば、思わずYESと言わせれば勝ちという考え方もあるでしょう。相手の心理を突くテクニックは、短期的には効果を発揮するケースもあり、防御の観点から学んでおく必要があります。しかし、ビジネス交渉の多くは、継続的な関係のある相手と繰り返し行なわれる交渉です。その時に、一回のみ有効な方法だけで良いのでしょうか。継続的なパートナーシップを作りたいと考えて交渉している相手から、強引にYESを迫るアプローチを受けたらどう思うでしょうか。

経験と人間性は重要です。しかし、それだけでは、経験がなく、想定していない交渉場面に遭遇するとフリーズしてしまいます。経験は研究して分析すれば、なぜその結果になったのか、同じことが起こり得るのか、より良い結果にするにはどうしたら良いのかを見つけることができます。

交渉に正解や不正解がある訳ではありません。しかし、世界中の国や企業で実際に行なわれた交渉事例を分析し、成功確率を上げる方法論の研究はあります。経営者や経営幹部が交渉を組織的に学ぶ重要性を理解し、この研究を個々の社員の交渉スキルのアップに加え、リーダー人材の育成、組織のナレッジ伝承、組織内の連携強化など事業活動に活用している日本企業もあります。

米国のハーバード大学には、戦争の戦略研究からビジネス交渉に発展し、世界中の交渉事例を分析して、交渉力の育成プログラムを開発している交渉学の研究があります。そこで教えられているのは、双方に価値のあるWin-Winのアプローチを目指した交渉です。このプログラムは、欧米のロースクールやビジネススクールでは人気講座になっており、最近では、日本の大学や企業の人材育成にも取り入れられています。

本講座では、交渉学の研究に基づき、東京大学(先端科学技術研究センター)と慶應義塾大学(グローバルセキュリティ研究所)で行なわれた日本企業の人材育成に活用する方法論の研究とその活用事例を用いて、読者の皆さんのお役に立つビジネス交渉のナレッジを、テーマ毎にシリーズでお届けします。

執筆者は、いずれも、交渉学を継続的に学習して活用し、それぞれの専門分野で独立して活躍している実務家達です。専門分野のテーマと交渉について、できるだけ事例を用いて分かりやすく解説したいと考えており、ビジネス交渉の現場や人材育成などにご活用頂ければ幸いです。

一色 正彦
「リーダーズオンライン倶楽部」アドバイザー

執筆者

一色 正彦
<執筆担当>
全体監修、交渉学関連
<交渉学との関わり>
欧州で海外企業との技術提携交渉に苦労している時に、英国人より交渉戦略のアドバイスを受け、交渉学の存在を知る。その後、国内外のビジネス交渉に活用すると共に、東京大学(先端科学技術研究センター)と慶應義塾大学(グローバルセキュリティ研究所)の研究に参加し、その成果を用いて、交渉学の研究と学生・社会人に対する教育と人材育成を行なっている。

<アカデミック・バッグラウンド>
大阪外国語大学(現大阪大学)外国語学部卒、東京大学先端科学技術研究センター先端知財人材次世代指導者育成プログラム修了
<ビジネス・バックグラウンド>
パナソニック(株)海外事業部門(主任)、法務部門(課長)、教育事業部門(部長)を経て独立。大学で教育・研究を行なうと共に、企業へのアドバイス(提携、知財、交渉戦略、人材育成)とベンチャー企業の育成・支援を行なっている。金沢工業大学(K.I.T.)大学院客員教授(イノベーションマネジメント研究科)、東京大学大学院非常勤講師(工学系研究科)、慶應義塾大学大学院非常勤講師(ビジネススクール)、関西大学外部評価委員会委員(大学教育再生加速プログラム)、(株)LeapOne取締役(共同創設者)、合同会社IT教育研究所役員(共同創設者)

主な著書:「法務・知財パーソンのための契約交渉のセオリー」(共著、レクシスネキシス・ジャパン)、「ビジュアル解説交渉学入門」、「日経文庫 知財マネジメント入門」(共著、日本経済新聞出版社)、「MOTテキスト・シリーズ 知的財産と技術経営」(共著、丸善)、「新・特許戦略ハンドブック」(共著、商事法務)など。

竹本 和広
<執筆担当>
知財関連(主に、特許権・商標権)
<交渉学との関わり>
大学院の交渉学講座を履修後、TA(ティーチング・アシスタント)、講師の経験を経て、交渉学の研究と学生・社会人に対する教育を行なっている。

<アカデミック・バッグラウンド>
神戸大学工学部卒、金沢工業大学大学院工学研究科知的創造システム専攻修了・修士
(工学)、一級知的財産管理技能士(特許専門業務)、AIPE認定知的財産アナリスト
<ビジネス・バックグラウンド>
コニカ(株)(現コニカミノルタ)知財部で特許の権利化、知財評価、知財教育等の経験を
経て独立。大学で教育・研究を行なうと共に、企業への知財コンサルティングを行なって
いる。金沢工業大学(K.I.T.)客員教授(イノベーションマネジメント研究科)、産業能率
大学兼任教員(知的財産権担当)、関西大学研究員(教育開発支援センター)、国立研究
法人宇宙研究開発機構(JAXA)招聘研究員(知的財産担当)、たかおIPワークス代表。

田中 康之
<執筆担当>
知財関連(主に、著作権)
<交渉学との関わり>
大学院の交渉学講座を履修し、TA(ティーチング・アシスタント)、講師の経験を経て学んだ交渉学の活用を続けている。

<アカデミック・バッグラウンド>
同志社大学商学部卒、金沢工業大学大学院工学研究科知的創造システム専攻修了・修士(工学)、東京大学大学院人間環境学専攻環境学博士課程修了・博士(環境学)、AIPE認定知的財産アナリスト
<ビジネス・バックグラウンド>
出光興産、TBSテレビ編成局(メディアライツ推進部長)、(株)エポック社執行役員(海外事業担当)を経て独立。コンテンツの資産評価、地域活性化の研究と共に、ベーカリーイノベーション事業を起業している。金沢工業大学(K.I.T.)客員教授(イノベーションマネジメント研究科)、一般財団法人日本総合研究所客員研究員、(株)ベーカリーイノベーション研究所代表取締役社長、MiPS LLC代表社員

松木 俊明
<執筆担当>
法律関連テーマ
<交渉学との関わり>
弁護士会で開催された研修を機に交渉学に興味を持ち、TA(ティーチング・アシスタント)の経験を経て、弁護士として交渉学を活用すると共に、学生・社会人に対する教育を行なっている。

<アカデミック・バッグラウンド>
関西大学法学部卒、同大学大学院法務研究科法曹養成専攻(ロールクール)修了・弁護士
<ビジネス・バックグラウンド>
法律事務所のパートナー弁護士を務めると共に、大学院生向けのアドバイザーや大学で講師、企業研修の講師を務めている。アーカス総合法律事務所パートナー弁護士、大阪弁護士会各委員会所属(交通事故委員会、医療委員会、犯罪被害者支援試飲会、刑事弁護委員会、子どもの権利委員会等)、関西大学大学院法務研究科法曹養成専攻(ロースクール)アカデミックアドバイザー、関西大学非常勤講師(交渉学入門)

佐藤 裕一
<執筆担当>
人材育成関連(主に、企業人材)
<交渉学との関わり>
大学院の交渉学講座を履修後、TA(ティーチング・アシスタント)の経験を経て、交渉学を活用し、学生・社会人に対する教育を行なっている。

<アカデミック・バッグラウンド>
名古屋大学工学部卒、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙専攻博士前期課程修了・修士(工学)。
<ビジネス・バックグラウンド>
ボストン・コンサルティンググループ(BCG)のコンサルタント(テクノロジ・メディア業界の事業戦略等)を経て、独立。企業に交渉を中心とした能力向上のトレーニングを提供している。(株)グリア代表取締役社長、慶應義塾大学講師(次世代リーダー育成プログラム福澤諭吉記念文明塾)。(株)ごちぽんメディアプラットフォーム事業部長。著書「理系のための交渉学入門」(共著、東京大学出版会)。

田上 正範
<執筆担当>
人材育成関連(主に、大学教育)
<交渉学との関わり>
教育サービス部門在籍中に交渉学を学び、TA(ティーチング・アシスタント)、講師の経験を経て、交渉学の研究と学生・社会人に対する教育を行なっている。

<アカデミック・バッグラウンド>
北海道大学工学部卒、同大学大学院工学研究科修士課程修了・修士(工学)。
<ビジネス・バックグラウンド>
パナソニック(株)半導体デバイス技術部門(主任)、教育サービス部門(課長)、関係会社システム部門(部長)を経て、独立。大学で教育・研究を行なうと共に、企業研修の講師を務めている。追手門学院大学准教授、関西大学非常勤講師、合同会社IT教育研究所代表。著書「理系のための交渉学入門」(共著、東京大学出版会)。

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