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あなたの会社は大丈夫?「人手不足倒産」が増加中

camera_alt (写真=Maksim Kabakou/Shutterstock.com)

少子高齢化が進む中、国内企業において「人手不足」が顕在化している。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2018年4月)」によると、正社員が不足していると回答した企業は全体の49.2%を占め、前年から5.5ポイント増となった。また、2018年上期の人手不足倒産は3年連続の前年同期比増だ。業種別では「サービス業」が最多。今回は、高齢化社会を襲う「人手不足倒産」の実態を見ていこう。

上半期の「人手不足倒産」は70件、前年超えるペース

帝国データバンクでは、「従業員の離職や採用難等により収益が悪化したことなどを要因とする倒産(個人事業主含む、負債1,000万円以上、法的整理)」を「人手不足倒産」と定義している。2018年上半期(1~6月)の「人手不足倒産」は70件発生しており、年間の合計件数で初めて100件を超えた2017年(106件)を上回るペースだ。負債総額は106億7,700万円に上るが、負債規模別件数を見ると「1億円未満」が38件と過半で、小規模なものが多い。

業種別では「サービス業」が最多の19件で、前年同期比26.7%の増加となった。「運輸・通信業」(12 件)は半期ベースで初めて 2 ケタに上り、人手不足が顕在化している。調査開始以来の5年半累計では、「建設業」(139 件、構成比 33.3%)で最多、次いで「サービス業」が 123 件(同 29.5%)となった。この2業種だけで全体の62.8%を占める。

業種の細分類別では、「道路貨物運送」が29件(2018年上半期は7件、前年同期4件)で最多。以下、「老人福祉事業」は26件、「木造建築工事」は23件、「受託開発ソフトウエア」は19件となっている。どの業界も昨今、厳しい職場環境や労働条件、人手不足が叫ばれる業界だ。

運送業は、景気回復やネット通販の興隆で配送需要が高まるも、ドライバーの確保難から新規受注が追い付かず、資金繰りが悪化したケースが目立つ。老人福祉事業は、職員不足から十分なサービスが提供できない、木造建築工事は職人不足による受注減や外注費の増大、受託開発ソフトウエアはエンジニアの離職による納期遅延などの理由が挙がっている。

地域別では、東京都(55件)、福岡県(31件)、大阪府(30件)の順だった。帝国データバンクは、「小規模企業を中心に『人手不足倒産』はさらに増加する恐れがある」と警告。特に「倒産企業のなかには、従業員の相次ぐ離職で事業遂行不能となり、倒産に追い込まれるケースが散見されており、小規模企業ほど従業員の定着率を高める必要性が高まっている」と、既存社員のリテンション(引き止め)の重要性を指摘している。

人手不足は日本国内だけの問題ではない

国内で不足する労働力を補うため、昨今、移民の必要性が頻繁に議論されている。中小企業や人手不足が顕在化する業界の中にはすでに、外国人従業員や技能研修生を雇用している企業も多いだろう。ただ、人手不足に直面しているのは高齢化が進む日本だけではない。中国やシンガポールなどの国も同様の問題を抱え、人材獲得に乗り出している。また、伸び盛りの東南アジア各国も、経済発展に伴い人手が必要になっているのだ。

「日本は物価が高い」「日本に来れば稼げる」という認識は今や昔。「失われた20年」でデフレと賃金の抑制を続けた結果、今や日本の給与や物価は、東南アジアの大都市と同水準程度まで下がっている。なかにはシンガポールや香港のように、日本を上回った例もある。例えば、日本は、インドネシア、フィリピン、ベトナムから看護師・介護福祉士候補者の受け入れを実施している。

しかし、なかには時間をかけて育成したにも関わらず、日本よりも高給で母国に近く、言葉の壁がないシンガポールなどに移っていくケースもあるようだ。このような状況を認識し、「日本人従業員が足りなければ外国人移民で補えばよい」という安易な考えはやめるべきだろう。「人手不足倒産」を防ぐには、今いる社員をいかに引き止め、業務を効率化していくかにかかっている。(提供:百計オンライン)



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