働き方改革の基本のキ(前編)

25bf41fd 64d4 4d85 bd63 6dc95582c8d0 camera_alt (写真=ImageFlow/Shutterstock.com)

毎日どんどん新しい情報が出てくる「働き方改革」。そもそも、「働き方改革」とは何なのか、説明できますか?今回は、「働き方改革」とは何なのか、基本情報をおさらいしましょう。

「働き方改革実現会議」で議論されている9つのテーマ

安倍首相みずからが議長となり進めている「働き方改革実現会議」では、以下の9つのテーマを元に議論が進められています。

1. 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
2. 賃金引き上げと労働生産性の向上
3. 時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正
4. 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題
5. テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方
6. 働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備
7. 高齢者の就業促進
8. 病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立
9. 外国人材の受入れの問題

働き方改革が今の日本に必要な理由とは

日本が抱える深刻な問題、それは、労働力不足です。少子高齢化が進み、労働人口はどんどん減少しています。このままだと、日本の生産力が落ち、国力が衰退してしまいます。そんな状況を打破するため、国をあげて取り組もうとしているのが「働き方改革」なのです。

~労働力不足の解決のための課題~
① 労働人口を増やすため、「出生率の増加」
② 働き手の幅を広げるため、「女性や高齢者の就業促進」
③ 労働人口が少なくても生産性を保つため、「個人の労働生産性の向上」

重要課題2トップは「長時間労働」と「正規・非正規社員の賃金格差」

先程、労働力不足の解決のための課題を3つ挙げましたが、その課題解決において大きな鍵を握るのは「長時間労働」と「正規・非正規社員の賃金格差」への対応です。

正社員として働く人は、残業だけではなく、会社からの転勤・異動の命令にも従わざるを得ません。それに応じられないと、非正規社員として働くことを選ばなければならないことも多く、一度非正規社員になると正規社員に戻ることはこれまで困難でした。育児や介護の負担もある女性や体力的にハンデのある高齢者にとって、勤務時間や職種、そして働く場所に対して無制約な働き方を受け入れるのは難しく、その結果として非正規社員という選択肢を取ることで、十分に力を発揮する機会を失っていることもあります。

「長時間労働」と「正規・非正規社員の賃金格差」は、出生率にもマイナスな影響があります。共働きで共に正社員だった場合、特に女性は長時間労働から仕事と育児を両立する負担が重く、またキャリアが中断されることを恐れて出産をためらってしまいます。また、非正規として働いている場合、特に夫が非正規社員だと、経済的な不安から子どもを持つことを諦めてしまいます。

そもそも、日本の 「長時間労働」と「正規・非正規社員の賃金格差」はどうして生まれたのでしょうか。

高度経済成長期と日本型雇用の三種の神器

日本経済が飛躍的に成長を遂げた高度経済成長期には、企業は製品改良を重ねながら製品をたくさん作ることで、その分収益を上げることができました。社員は長時間労働を厭わずに目の前の仕事をこなして技術を磨き、その結果として企業の収益が上がり、自らの所得も上がったのです。そんな製造業中心の産業構造のもと、「終身雇用」「年功制」「企業別組合」が日本型雇用の三種の神器といわれていました。

やがて高度経済成長期が終焉を迎え、産業構造が製造業中心からサービス業中心へと移り変わりましたが、三種の神器のもとでしか機能しない、正社員の無制限雇用(長時間労働、無期雇用、無制約な職種や勤務地)を日本経済は長らく引きずってしまいました。その結果として長時間労働が常態化し、非正規社員の増加も招いてしまいました。日本の雇用環境は、時代の流れと相反している状況といえるのです。

議論が進む残業時間規制

労働基準法には、1日8時間、週に40時間という労働時間の原則が定められています。その労働時間を延長するためには、「三六協定」といわれる労使協定を結ぶ必要があります。その延長できる時間にも上限となる基準がありますが、特別条項をつけることで実質無制限に残業をさせることが可能でした。そこで上限規制が議論され、繁忙月に認められる上限の残業時間は「100時間未満」とすることが固まりました。

・ 年間720時間を上限とする
・ 2~6ヶ月平均で80時間以内
・ 繁忙期は月100時間未満
・ 月45時間を超える残業時間の特例は年6ヶ月まで

また、終業から始業まで一定の休息を設ける「勤務間インターバル」も法律に明記されます。EU加盟国ではすでに「24時間につき最低連続11時間の休息時間(勤務と勤務の間隔)を付与すること」「7日ごとに最低連続24時間の休息を付与すること」が義務付けられています。

「100時間」「80時間」という数字はどこから出てきたのか

「100時間」「80時間」という数字は、過労死の認定基準を参考にして出てきたものです。脳や心臓疾患による過労死の労災認定基準として、2~6ヶ月平均で約80時間を超える時間外労働、もしくは発症前1ヶ月に100時間を超える時間外労働は、その健康障害と長時間労働の因果関係を認めやすいとされています。これがいわゆる「過労死ライン」と呼ばれているものです。

残業時間規制が議論される中でも、この過労死ラインを三六協定の上限と定めてよいのかという意見が多数上がりました。「『100時間まで働かせていい』という誤ったメッセージになってはいけない」と連合の神津会長も発言しています。

働き方改革の基本のキ(後編)では、同一労働同一賃金、そして実際の企業ですでに実施されている具体的な取り組みを見ていきましょう。(Powered by あしたのチーム

南青山リーダーズ株式会社 編集部

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