スタートアップの資金調達・ビジネスマッチングサイト

どこにでもある中小企業が残業40時間減に成功した方法

camera_alt (写真=BPTU/Shutterstock.com)

2月1日に官邸で開催された「働き方改革実現会議」で、ついに長時間労働に関しての議論が始まりました。日本中で労働環境の改善に注目が集まり、メディアでも企業の取り組みが紹介されていますが、「それは中小企業には無理だ」「大企業だからできることだ」と感じている中小ベンチャー企業も多いようです。

しかし、諦めるのはまだ早い!今回は、40時間の残業削減に成功した中小企業が実際にやっている方法をご紹介します。

給与に直結する評価項目に「生産性」を設定

社員の給与を決める評価制度の数値目標の中に、「生産性」を計る項目が入っています。ちなみに、この企業では、評価シートの内容に基づいて「絶対評価」で給与が決まっています。

それでは、「生産性」を計る項目とはどんなものなのかを見ていきましょう。

~営業職の場合~

営業職の数値目標というと、「受注金額」のように持っている予算が設定されることが多くあります。そうすると、何としてでもその目標を達成しようと、とにかく時間をかけている(たっぷりと残業している)人も中にはいるかもしれません。

例えば、同じ400万円という予算を達成したAさんとBさんがいるとしましょう。Aさんは生産性高く仕事をこなし、残業時間は10時間、Bさんは達成のためにとにかく時間をかけ、残業が45時間。この場合、会社側として高い評価をしたいのは短時間で成果を出したAさんですよね。しかし、数値目標にただ「受注金額」としか設定されていなかった場合は、AさんもBさんも会社からの評価は同じということになってしまいます。しかも、Bさんは長く働いた分残業代をもらっているので、本来能力が高いはずのAさんの方が、給与としては損をしていることになってしまいます。

そこで、会社が設定する数値目標を「受注金額」から「時間当たりの受注金額」に変えました。具体的には、下の表のようになります。

この会社では評価結果を基本給に連動させているので、評価の高いAさんの方が基本給が上がり、給与の時間単価が上がるような仕組みになっているのです。

~非営業職の場合~

事務や人事、経理のような非営業職は、数値目標を設定するのが難しいと思っていませんか?しかし、だからといって非営業職がどうやったら給与が上がるかが不透明なのは、経営側として査定の平等性を証明するのが難しくなってしまいます。ですので、非営業職も営業職と同じように数値目標を設定し、そこに「生産性」を計る指標を入れるのは良い施策といえます。

職種ごとにどんな数値目標項目が適切かについてここでは詳しくは触れませんが、例えば管理部の目標が「全社売上達成率」「社内マニュアル作成件数」だったとします。それだけでは、営業が時間をかけて予算を達成するのと同じように、残業をして社内マニュアルをたくさん作成することで評価を上げようとする人が出てくるでしょう。そこで追加した評価項目が、「残業時間」です。下の表のように、残業時間が少ない方が評価で高い点数を得られるようにしました。

「早く帰った方が得じゃない!?」

もちろん、会社から求められている業務をきちんと遂行していること、営業で言えば予算を達成していることが前提で、「残業が少ない方が評価が高いなら、早く帰った方が得じゃない!?」という意識が社内に広まると、かつては深夜残業も当たり前だった会社が19時を回るとフロアに残っている人はまばらに。短い時間で成果を出せるようになったので、残業が多かった頃よりも会社の業績は上がりました。

給与に直結するから必死になる

この企業の成功のポイントは、評価が基本給に直結し、その報酬への連動も社員に対してガラス張りにしたこと。お給料が増えるか減るかがかかっていれば、それは真剣にならざるを得ませんよね。マラソンにゴールがなかったら誰も走らないのと同じで、いくら「残業を減らしましょう!生産性を上げましょう!」と言っても、どのくらい残業を減らせばいいのか、その結果としてどんないいことがあるのかが不明確であれば、誰も変わろうとしません

。だらだらとゆっくり仕事をして残業代ももらえるのであれば、それでいいと思ってしまいます。だからこそ、経営者が率先して生産性を上げるメリットをお給料と紐づく形で社員に明示し、「本気で残業を削減したいんだ!」という本気のメッセージを伝えることが、成功への第一歩なのです。(Powered by あしたのチーム)

南青山リーダーズ株式会社 編集部

関連記事

公式Facebookページ

公式Xアカウント