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裁量労働制について

(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)


裁量労働制とは?

裁量労働制は、仕事の進め方や時間配分などを、会社から指示されるのではなく、労働者本人が決定できる制度のことです。時間ではなく成果で働く裁量労働制は、長時間労働を助長するという懸念もありますが、適正な残業時間を盛り込んだ裁量労働制と、残業代カットは異なります。

裁量労働制は、専門知識や自身の能力を最大限に活かせる魅力的な制度です。裁量労働制という働き方について、ご紹介します。

裁量労働制の種類

裁量労働制には、下記2種類があります。

1. 専門業務型裁量労働制
専門業務型裁量労働制は、業務の性質上その遂行方法を労働者の大幅な裁量にゆだねる必要性があるため、業務遂行の手段および時間配分につき具体的指示をすることが困難な一定の 専門的業務に適用されるものです(出典元:労働基準法38条の3第1項)。

<対象となる業務>
デザイナー、ゲームクリエイター、映画等のプロデューサー、システム設計分析、システムコンサルタント、公認会計士、弁護士、税理士などの仕事で、厚生労働省令で定められた19職種が対象です。

<導入要件>
導入するには、労働者と使用者の間で労使協定を締結し、労働基準監督署へ届け出ることが必要です。

2. 企画業務型裁量労働制
<対象となる業務>
企業経営や事業運営など会社の中核を担う部門での企画立案、調査、分析業務に携わる労働者が対象で、個々の社員の知識や経験によって適用できるかどうか判断されます。

<導入要件>
・ 労使委員会の設置
導入するには、労使委員会を設置して次の事項について決議しなければなりません。このとき、労使委員会の5分の4以上の賛成が必要とされます。

・ 決議事項
(1)対象業務
(2)対象労働者の範囲
(3)みなし労働時間(1日あたりの時間数)
(4)対象労働者の健康・福祉の確保の措置
(5)対象労働者の苦情処理の措置
(6)労働者の同意を得なければならない旨、不同意労働者に不利益な取扱いをしてはならない旨
(7)協定の有効期間(3年以内が望ましい)
・ 決議は労働基準監督署へ届け出ることが必要です。
・ 決議された後は、制度の対象者となる労働者から個別の同意を得る必要があります。

裁量労働制のしくみ

● 労働時間という概念はあるが、みなし時間が設定されている
労働時間の概念がないので、出退勤は自由です。みなし時間が1日8時間だとすると、たとえ10時間働いても、「8時間働いた」ということになります。みなし労働時間は、実際の労働時間とあまりにも乖離していると、労働者が不満に感じるので、労使でよく話し合いの上、決定する必要があります。

● 休日出勤の取り扱い
休日に出勤した場合は、別途支払わなければいけません。あくまでも、所定労働日を労働したとみなす制度ですので、休日労働は含みません。深夜勤務(22時~5時)をした場合にも残業代が発生することになります。

● フレックスタイム制との違い
フレックスタイム制とは、始業と就業の時間を労働者の判断に委ね、実労働時間を月単位で集計する制度です。実労働時間に関係なく、一定時間を働いたとみなす裁量労働制とは全く異なります。

● 裁量労働制と「みなし残業」制度の違い
「みなし残業」とは、毎月ある一定時間を残業したとみなして固定の残業代を支払う制度です。裁量労働制では、みなし労働時間が8時間を超える設定とした場合は、残業代が発生することになります。

制度導入のメリット・デメリット

・メリット
裁量労働制は、想定された通りに機能するのであれば多くのメリットがあります。

労働者にとっては、自分で労働時間をコントロールできるようになり、自由に勤務できるようになりますので、時間をうまく調整すれば、少ない労働時間で賃金がもらえ、モチベーションアップに繋がります。つまり、生産性の高い労働者が能力を発揮してくれることになります。

・デメリット
予定していた残業時間を超え、通常の割増賃金をもらう方が給料が高くなる、ということも想定されます。これは労働者からすれば、割にあわないものとなってしまいます。時間外労働の管理ができない分、サービス残業の温床になる危険性もあります。

まとめ

裁量労働制をうまく機能させるには、「成果」をどう定義するかが重要です。当人としてはどうしても自身の担当する仕事を極めたい、仕事のクオリティを下げたくないいう気持ちがあると思います。そうすると必然的に労働時間が長くなります。管理者と担当者で、 どの段階で仕事を完了とみなすのか、「成果」を明確にしておく必要があります。管理者が具体的に「成果」を明示し、担当者と成果物のイメージを共有することが重要です。「成果」の定義が共有されないまま進んでも、裁量労働制は機能しません。裁量労働制には、「残業代カット」というようなイメージもあるかもしれませんが、今般さまざまな働き方があるなかで、選択肢の一つとして考えるきっかけとなって頂けたら幸いです。

南青山リーダーズ株式会社 編集部