「コロナ禍」で急ブレーキ!4月のM&A件数
「コロナ禍」で経済活動が縮小する中、M&A市場にも急ブレーキがかかった。4月のM&A件数(適時開示ベース)は50件と前年を17件下回り、4月として2016年(同数の50件)以来の低い水準となった。3月に比べると36件の大幅減少。1~3月期は232件と09年以来11年ぶりの高水準を記録したが、一転、下降局面を迎えた。
4月は1件当たりの買収額も小さく、取引金額100億円以上は1件だけ。10億円以上も4件にとどまった。金額が開示された件数が少なかったこともあり、4月の買収額全体は423億円と前年同月比で9割減少した。
M&A取引を巡っては3月以降、国内でも新型コロナウイルスの感染拡大とともに、仕掛かり案件の資産査定などに遅れなどが生じているうえ、緊急事態宣言の延長を受けて、新規案件着手も様子見の状態が継続することが予想される。
全上場企業に義務づけられた適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)を、M&A仲介のストライク(M&A Online)が集計した。
金額首位は東海カーボンがフランスの炭素黒鉛製品メーカーCarbone Savoieを約197億円で買収する案件で、同社の持ち株会社の全株式を7月上旬に取得する。これに続くのはミトコンドリア関連疾病などの創薬ベンチャー、英ナンナ・セラピューティクスを4月19日付で買収したアステラス製薬。買収金額は開発の進捗に応じた追加支払い分を含めて最大90億円規模。
国内企業同士では、三井E&Sホールディング(旧三井造船)傘下で木質バイオマス発電事業を手がける市原グリーン電力(千葉県市原市)の子会社化するタケエイの案件が最も大きかった。関連企業の株式取得と合わせて総額は約53億円。経営再建中の三井E&Sは子会社などグループ資産の売却を進めている。
業種別で動きが目立ったのがリユース(中古品)関連で、4件のM&Aがあった。TRUCK-ONEは東南アジアに中古トラックを販売するSUN AUTO(北九州市)の子会社化、マーケットエンタープライズは旺方トレーディング(鳥取市)から中古農機具の買取・輸出事業の取得を決めた。
和装品リサイクルショップを運営する東京山喜(東京都江戸川区、民事再生法を適用申請)の再生スポンサーとして名乗りをあげたのはヤマノホールディングス。東京山喜の事業取得について検討に入ると発表した。BuySell Technologiesはバンク(東京都渋谷区)から財布、バッグなど中古品の即時買取アプリ「CASH」事業を取得した。
ドラッグストア業界では首位を争うウエルシアホールディングがクスリのマルエ(前橋市、58店舗)、ツルハホールディングスがJR九州ドラッグイレブン(福岡市、228店舗)の子会社化を発表した。南青山リーダーズ編集部